ゆうゆうかんかん 悠悠閑閑
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お待たせしましたー!!!!
1000HITお礼です!!
1000HITお礼とお待たせしてすみませんのss二本立てでお送りしますv
今回はこの間のオフ会で、語り合ったトラパスの子供ネタです。
もしも、そこまでの設定はちょっと・・・と思われる方は申し訳ないですが、ご遠慮くださいませ☆
大丈夫な方はそのままどうぞ!!!
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今回の設定としては、トラ子8歳くらいパス太5歳くらいかな?
名前はメッチャ適当ですみません;
外見トラ似のトラ子と、外見パステル似のパス太。笑
性格は真逆だったら面白いのになぁーと思いながら書いたイラストです。
ssはそんな2人とその両親のお話です。
みいのイメージはこんな感じかな?↓
《おとーさんと弟子》
トントン。
夫婦の寝室のベットの上でいつもの通り道具の手入れをしていると、遠慮がちにそのドアをノックする音が聞こえた。
「んー?」
ま、手入れもひと段落した所だし、相手してやるか。
そう思いながら、固まった背中をほぐしながら足を伸ばしていると、ゆっくり開いたドアから赤毛が覗く。
「おとーさん。あのね、今・・・ちょっといい?」
・・・なんだぁ?こいつ、元気ねぇな・・・。
いつもはもっと、『しっかりしたお姉ちゃん』でパステルにも弟にもビシビシ厳しい長女なんだが、・・・・今日の様子はいつもと違った。
日ごろしっかりしている奴がそうじゃないと、なんてゆーか、親としても心配だ。
「なんだよ?どーかしたのか?」
あえて明るく聞きながらポンポンとベットを叩いて、『ここに座れ』と誘ってやると、素直に隣にチョコンと座った。
んだが・・・・・
「・・・・・・・・・・・。」
・・・なんだよ。だんまりかよ。
本当にこいつらしくねーな。
「聞いて欲しい事があんだろ?言わなきゃわかんねーぞ。」
そう俺が言ったとたん、ポロポロと涙をこぼし始めたから驚いた。
・・・・こいつが泣くの、久しぶりに見たな・・・・・。
こいつが泣くって事はよっぽどの話なんだろう。
優しく頭をぽんぽんと叩いてやって、大丈夫だからと言うとやっと決心が付いたみてぇでポツリ、ポツリと話し始めた。
「あのね、私盗賊になるの諦めようと思って。」
盗賊の俺から見ても、持って産まれた盗賊としての才能に恵まれた我が子。
本人も自ら日々の盗賊修行にやる気を持って頑張っているのを一番近くで見ていた俺が良く知ってる。
なのに、いきなりどーしたんだ?
もちろん俺はこいつにブーツ一家を継いで貰おうなんて気はさらさらにねぇし、本人がやりたいって言うならやればいいと俺はずっと思ってる、無理強いをする気は一切無い。
だから盗賊になる、ならないは本人の意思を尊重している。
・・・でもこいつは、俺みたいな盗賊になりたいと、人一倍毎日辛い修行にも耐えてきてたじゃねぇーか。
・・・・聞いてみなきゃわかんねーな。
「ふーん?で?」
「私、どんなに頑張っても、この鍵の解除が出来なくって・・・。」
そう言って傷だらけの手に握り締めたものを見せてくれた。
それは俺が一ヶ月も前に渡した鍵開け練習用の鍵だった。
「・・・・おまえ、一ヶ月間ずーっとこれを解こうとしてたのか?」
「うん・・・・。でも、どんなに頑張っても解けないの。私盗賊に向いて無いのかなぁ・・・。」
・・・なーる。そう言う訳か。
ま、盗賊の修行してる奴なら何度と無く陥るスランプみたいなもんだ。
コイツの技術があれば、あとはコツさえ気付けばクリア出来んだけどなー。
でもこればっかりは自分で気づかなきゃ意味がねぇ。
本人も解き方を教えて欲しいと言ってこねぇって事は、そこら辺を心得ているからだと思う。
にしてもやっぱり根性あるな、こいつ。
俺は昔、3日で投げ出したけどなこの鍵・・・。
こういうところはパステルに似てるよなー。
「そっか。お前の気持ちはよく解った。じゃ、この鍵はもういらねーよな。返してもらうぞ。」
俺が冷たくそう言って、傷だらけの手から鍵を奪おうとすると
「・・・ダメッ!!」
一気に俺の手から鍵は奪い返された・・・・。
心の中でニヤリと勝ち誇った顔の俺。
でもあえて表情を変えずに追い討ちをかけてやる。
「いらねぇんだろ?それ。」
「・・・・・いる!」
「盗賊にならねぇ奴にはそんもん、必要ねぇだろ。返せよ。」
「やだ!・・・・やだやだやだっ!!私、盗賊になりたいんだもんっ!!」
両目に涙をいっぱい浮かべながら、必死に鍵を取られまいとしているわが弟子。
「じゃあ、本気で盗賊になりたいなら今日中にその鍵、クリアしてみろ。それが出来ねぇんだったらきっぱりあきらめろ。お前には向いてねぇよ。」
どこまでも突き放した言い方の俺の言葉に盗賊見習いは、はっと息を呑んで
「・・・わかった。出来たら持ってくる。」
『絶対、解いてやる!』そう決意に満ちた表情で部屋を出て行った。
・・・やっぱり根性あるよなあいつ。
外見は俺に瓜二つだけど、あーゆう根性あるところはパステルに似てる。
いい盗賊になれるから、頑張れ。
そんな風に心の中でエールを送っていると、またドアが開いた。
「・・・なんだよ。」
「ふふふ。ちゃんと助言してくれたんだね。トラップ。」
次に顔を覗かせたのはパステルだった。
「俺は助言なんかしてねーよ。あいつが勝手にやるって言って出てったんだよ。」
そう、俺は否定してるのにパステルは相変わらず、ニコニコしている。
「ううん。トラップなら上手にあの子を立直らせてくれると思ってたもん。」
あの子、私に似てるからさ。
そう言ってパステルは部屋を出て行った。
・・・・何、俺あいつに上手い事使われたってことか・・・?
ま、取りあえずは俺の一番弟子の報告待ちだな。
大丈夫、もうすぐしたらあいつは絶対笑顔でこのドアをノックする。
けっ、次はもっと難しいのを用意しといてやるから覚悟しとけよ。
おしまい。
《特等席》
「・・・・たでぇま。」
リビングで鼻歌まじりに編み物をしていると、玄関から息子が帰ってきた。
・・・けど、声がなんかおかしい。
いつものワンパク坊主の元気が無い。
何かあったかな?
編み物をテーブルに置いて出迎えに玄関まで行ってみる。
「おかえり!」
いつも誰かを出迎える時は笑顔で玄関に立つのが私の癖になっているんだよね。
トラップが無事に冒険から帰ってきたらやっぱり安心するじゃない?
だからトラップに限らず、誰かを笑顔で出迎えられる事が嬉しくって私は必ず笑顔で出迎えてる。
帰ってきたほうも、笑顔で『おかえり!』って言われる方が良いに決まってるもんね!
でも、笑顔の私に対して5歳になるうちの息子はむっすっとした顔。
しかもそれだけじゃない。
あちこち傷だらけで、服もドロドロ。よくみれば所々破けてたりもする。口の中が切れているのか、口の端には血もにじんでいる。
・・・これはケンカしてきたのかなぁ?
外見は私にそっくりなんだけど・・・誰かさんに似て血の気が多いって言うか、短気な息子。
あははは、口も悪いしねー。
悪い見本が家にいるから、怒っても説得力ゼロ。
いやー、あれでも昔に比べたら落ち着いたと思うんだけどね、私としては。
おっと、息子の事を忘れちゃうところだった・・・。
相変わらずむっすとした顔のままリビングのソファーにドカッと飛び込んだ。
「どうしたの?」
私が優しく聞いても返事は無かった。
うーん。こりゃ相当怒ってるかな?
「お母さん、隣に座ってもいい?」
そう聞くとチラッとこっちを見て、コクンと頷いた。
「ありがと。」
そう言って隣に座ると、ズズッと鼻をすする音が聞こえる。
もしかして泣いてた?
でも馬鹿正直に聞いても彼は絶対『うん。』とは言わない。
あははっ!
ね?誰かさんに似てるでしょ?
「何があったのか、おかあさん聞いてもいい?」
私がもう一度優しくこう聞くと、今度は瞳に涙を浮かべながら、うんと言ってくれた。
よっぽど辛い事でもあったのかなぁ。
なんとなくそう感じて、ポンポンと自分の膝を叩いて
「こっちにおいで。」
そう誘ってみると素直に、私の膝の上にチョコンと座ってぎゅうっとしがみついてきた。
やさしく頭を撫でてあげながら、彼の話を聞くことにした。
「今日、外で遊んでたらいきなりでかい奴らが来て、『お前んち、泥棒なんだろ!』って言って来やがったんだ。
俺んちは盗賊だから違うっって言ってんのに、あいつら『泥棒は捕まえなきゃな!』って『お仕置きだ。』っつって殴りかかってきたんだ!だから逆に俺が始末してやったんだ!」
そう言いながらも、かなり悔しくって彼の心が傷ついているのが手に取るように解ってしまった。
とりあえず、彼がどんなお仕置きをしてきたのかは気になるところだったけど、今大事なのはそこじゃない。
「そっか。辛かったんだね。」
そう言って、よしよしと頭を撫でてあげる。
「ひっく・・・」
「ちゃんと違うって言えたんだね。偉かったね。」
「うううぅっく・・・・」
ぎゅううっと小さな体を優しく抱きしめてあげた。
トラップもきっとこんな風に傷ついてたんだろうな。
そう言えば昔、『盗賊と泥棒の違いがわからない奴がいるんだ。ほんとにメーワクな話だぜ。』って言ってた事があった。
冒険中もそう言うことが時々あったもんね。
その度に憤慨してる私達に対してトラップはいつも、『別にいつもの事だし、言われ慣れてるから大丈夫。』そう、平気そうな顔してたけど・・・
そんな事言われて、平気なわけ無いよね。
言われ慣れているからって、傷ついてないわけじゃないもんね。
トラップは一々そんな事言わないけどきっと、今も傷ついてるんじゃないかと思う。
そして膝の上の小さな意地っ張りさんも。
「ねぇ?世界中にはいろんな人がいて、盗賊と泥棒の違いを知らない人も沢山いるのね?だからさ、お母さんカッコイイ盗賊のお話書いてみようかな。そしたらそれを読んだ人が盗賊って素敵な職業なんだって思ってもらえるかもしれないもんね。」
「・・・それってトラップの事か?」
「こら、呼び捨てにしないの。お父さんね。んー。どうしようかなぁ?どこかにカッコイイ盗賊はいないかしら?」
私がそう言うと
「はいはいはいはーい!!俺!俺の事書いてよ!!いいだろ!?」
一気に元気になったちっちゃい盗賊。
ふふ。かわいいなぁーもう。
「じゃあ、お母さんがかっこよく書ける様に、頑張ってかっこいい一人前の盗賊になってね!」
「おう!まかしとけっ!トラップの事なんか、チョチョイのチョイッと追い越してやるからな!」
そう自信たっぷりなかわいい息子の頭に、いきなり拳骨が降ってきた。
ごつっ!!
「いってってえぇええ!!あにすんだよ親父!」
「ふん!誰がチョチョイのチョイだってぇ?百年はやいっつーの!!」
「うっせぇー!!パステルが俺をモデルにするっつったから悔しいんだろ!?」
「あほか!!くだんねぇ事言ってねーで罠外しでもしてこいっ!!」
「べぇー。言われなくってもやりますよーだ!」
この2人、一度ぶつかったらどっちも引かないから大変だ。
ほんとに、似たもの親子だよ・・・。
息子と同時に嵐も去ったような静けさが戻ってきた。
「もう!トラップ大人気ないよ。」
「けっ。」
悪態をつきながら私の隣に腰を下ろしたトラップを見ていると、なぜだかさっきの息子とダブって見えた。
『言われ慣れてるからって、平気なわけじゃない。』
私が知らないだけでトラップもきっと、今までたくさん傷ついてきたんだろうな。
そう考えると一気にいとおしく見えた。
「トラップ・・・・。」
「ん?」
こっちを向いたトラップの頭を、息子にしてあげたのと同じように優しく撫でてあげた。
「よしよし、エライね。トラップ。」
そう私が褒めてあげるとトラップはニヤッと笑って、
「そんなんじゃ足らねぇ・・・。もっと慰めて?」
私の耳元でそう言ったかと思うと、そのまま私に体重を預けてきた。
「バカッ!見てたの?」
「見てた。」
「もう。・・・・今日だけだからね?ここは子供達の席なんだから。」
「・・・・ちげぇーよ。俺の特等席なのここは。」
「まったく、すぐ張り合うんだから・・・。」
そう文句を言いながらも、優しくトラップの頭を撫で続けているといつの間にか、穏やかな寝息が聞こえてきた。
ねぇトラップ、私幸せだよ?
そして私はトラップに見つからないように優しく静かにキスを落とす。
おしまい。
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