ゆうゆうかんかん 悠悠閑閑
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和稀さんの『解散の日』の二次小説を打ち込んでいるうちに頭をよぎったSSです。
いきなり書いてしまったので、支離滅裂かもしれないですが一応、『解散の日』の最終話の直後のお話です。
つまり、トラップの家に着くまでの話。
短いSSですが、よろしければどうぞ☆
《手のひらの魔法》
春にはまだまだ早い真っ赤な冬の夕焼けを背にして、トラップと2人手をつないで歩いていく。
・・・今までも何度も触れた事も、迷子にならないようにと連れられながら繋いだこともあるトラップの大きな手。
でも今繋いでいるトラップの手は、過去のそれらとはまったく違うと思う。
そう感じていたのは私だけじゃないみたいで・・・・。
時折ぎゅっと力を込めて握り締められる手のひらは、2人の想いでとても暖かかった。
今までも何度となく繋いだトラップの手。
いつもトラップと手を繋いで歩く時の私は、彼の背中ばかりを見ていた気がする。
行き先の分からない私を、どこまでも引っ張って行く背中。
初めて私と手を繋いだ時、トラップはどんな風に想ったんだろう?
ふと気になった。
彼にしたら何気ない行動だったのかな?
でも、トラップが常日頃から女の子と手を繋ぐ事に慣れていたとは思えないし・・・・・。
迷子の子をわざわざ手を繋いで案内している彼の姿は、私以外記憶にも無い。
私の事を女の子として意識した事が無かったのかなぁ。
それはそれで、ちょっと悲しい。
「おめぇ、すぐ迷子になるだろ!?」
そう言われて何度もトラップと手を繋いで歩いたけど、年頃の男女が手を繋いで歩いていたら他人から見ればそれはもう、恋人同士にしか見えない訳で・・・・・。
その事をあの時のトラップが気づいてなかったなんて・・・・・無いよね、絶対。
いつもどんな想いで私と手を繋いでいてくれたのか・・・・・今の私みたいにドキドキして意識する事があったのかな?
あの頃も、時折トラップからぎゅっと握り締めてくる事があった。
私から握り返した事は無かったけど・・・・・・。
あぁっ!!!!
そっかっ・・・・!!
あの時のトラップの「ぎゅっ。」は、トラップの想いだったんだ!!
今の私達がそうしてる様に。
口には出さなかったトラップの想い。
今更気付いて、私の胸がギュッとなる。
今、私の前には見慣れた背中は見えずに、拓けた景色が見える。
隣に彼がいる。
私はこれからトラップと同じ世界を見て歩いていけるんだと思うと、胸の奥から今まで感じたことの無いほどの幸福感が、私の体を支配していくのがわかった。
あぁ・・・・・。
愛する人がいて、こんなにも愛してくれる人がいる。
幸せすぎるよね、私。
・・・大好き・・・
ぎゅっと握り締められたままの手をぎゅっと握り返すと、2人で視線を合わせて笑いあう。
丘を下る間に何度となく繰り返してきた儀式。
あの頃のトラップには気付いてあげる事も、返事を返してあげる事も出来なかった小さな合図。
背中の夕日に負けないくらい真っ赤なトラップの顔を見ていると、喜びが沸々と沸いてきた。
心で想っているだけじゃすでに、私の心は満足できないでいる。
そして言葉で伝えるだけでも物足りない私も・・・・・。
私が想いを口にするたびに優しく降ってくる唇も、この想いで染まればいいのに・・・・。
唇からすべてが伝わる魔法を唱えよう。
すべてが始った手のひらの魔法のように。
永遠にとける事の無い、この世界で一番素敵な魔法。
「トラップ、大好きだよ。」
おしまい。
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