ゆうゆうかんかん 悠悠閑閑
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久しぶりのssですっ!
どうぞー。
《変わらぬこの時を》
「はい、確かに頂きました。
パステルさん、今回もお疲れ様でしたね。とってもいい出来ですよ!では、こちらが今回の原稿料です。」
ニコニコと、いつもの優しい笑顔で差し出された真っ白な封筒。
それを見た瞬間、嬉しさのあまり思わず頬が緩んでしまう。
今日は待ちに待ったお給料日!
わあーいっ!
お給料が貰えるって、働く最大の喜びだと思う。
何度貰ってもこの嬉しさに変わりはなくって、手にする時の喜びも同じ。
まるで、生まれて初めて手にしたお給料の様に嬉しい。
「ありがとうございます!」
私は元気にお礼を言って、待望の封筒を手にした。
そのまま、そっと自分の手で封筒の厚みを量ってみる。
くぅうう~!
入ってる!
入ってる!!
「ふふ!パステルさんのそんな嬉しそうな顔が見られるなら、いくらでもお給料をあげたくなりますね。」
ニコニコと笑顔で読み終えた原稿を大事そうに仕舞う印刷屋のご主人に、笑われてしまった。
かぁああっ・・・・!
・・・・厚みを確認したのがバレてる?
きゃーあぁぁぁあぁっ!
は、恥ずかしすぎるっ!!
「あはっ、あはははは・・・。」
乾いた笑い声が、私の口から漏れる。
漏れた笑いとは裏腹に
クレルナラ、イクラデモモライマスヨ・・・
と、心の中で、そっと呟いてみる。
なぁーんてね。
「そのお給料で、何か欲しいものでもあったんですか?」
そんな心の呟きを知る由もないご主人は、相変わらずニコニコと話しかけてくる。
欲しいもの・・・
そんなもの、自慢じゃないけどいーっぱい!ある。
暖かくなってきたから春服も欲しいし、ルーミィにも可愛い服を買ってあげたい。
読みたい本も、たーくさんあるしね。
家を持つようになって、かわいい雑貨などにも興味をそそられる。
でも、
「あはははー。欲しいものはあるんですけど、当分の生活費に消えそうです。」
これが現実。
「そうですか。まぁ、実際はそんなもんですよね。でも働いた自分へのご褒美も忘れちゃダメですよ?」
そう言うとご主人は立ち上がり、一度奥へと引っ込んだ。
ご褒美かぁ・・・。
ぼんやりと頭の中で考える。
確かに、どんなものでもひとつくらい自分の欲しいものを買うのって、いいかもしれない。
早速帰りに、前から気になっていた雑貨屋さんに寄ってみようかな。
そんな事を思っていると奥からご主人が戻ってきた。
「パステルさん、これは私からのご褒美です。」
そう言って差し出された箱には、美味しそうなケーキが沢山並んでいた。
「これを私に!?」
きゃーあっ!
すっごく、美味しいそう!!
「はい。よろしかったら皆さんで召し上がってください。」
うわぁーい!
箱にはちゃんと、ケーキが7個。
一人一個ずつの計算だ。
でもきっと、シロちゃんは食べないからルーミィが2個食べちゃうんだろうね。
ルーミィのよだれを垂らして喜ぶ顔が浮かぶ。
ふふふっ!
「ありがとうございますっ!みんなで頂きます。」
私は印刷屋のご主人に深々と頭を下げた。
「いえいえ。ではまた原稿の方もお願いしますね。」
「はいっ!」
ニコニコと笑顔で手を振るご主人にもう一度お礼を言って、私は印刷屋を後にした。
ケーキだ!
ケーキ!
ルーミィ、絶対喜ぶよっ!
よぉーし!
家に帰ったら早速、みんなでお茶にしちゃおう。
そしてお給料も貰ったし、今日は猪鹿亭でパァーッと食べよっかな!?
春のポカポカ陽気も手伝って、スキップでもしちゃいたい気分。
みんなの喜ぶ顔が早く見たくて、自然といつもより早歩きで家へと急ぐ。
暖かい春が来て、お給料を貰った上にケーキまで!!
今日はびっくりするくらい嬉しい事がたくさん!
気がつくと家の玄関前にいた。
玄関のノブに手を掛けた瞬間、雑貨屋さんに寄るのを忘れている事に気がついたけど、ちっとも気にならない。
だって幸せな気持ちでいっぱいなんだもの。
私はとっても幸せな気分のまま、勢いよく玄関の戸を開けた。
「たっだいまぁー!!」
元気いっぱい上機嫌な私の声だけが空しく家中に響く。
・・・・・あれ?
誰も居ないの?
おかしいなぁ。今日はみんな家に居るって言ってたのに。
「ねぇ!誰も居ないのー?」
静まり返った家の中からは人の気配がするのに返事がない。
ざわり。と嫌な予感が胸を過ぎる。
・・・・何?
私が出かけている間に、何かがあった?
「ルーミィー!シロちゃーん!」
バンッ!
リビングの扉を開ける。
「クレイっ!?」
・・・・いない。
バン!
「キットン?」
バン!
「ノルっ!?」
バン!
「トラップッー!?」
キッチンも、ダイニングもそれこそ風呂場も物置も。
家中の扉という扉を開けて探しても、そこにいるはずのみんなの笑顔は見つからなかった。
一体、どういう事なのっ?
心臓が早鐘のように、ドクドクと脈を打つ。
嫌な予感だけが頭を過ぎる。
あ、頭が痛い・・・・。
「みんな・・・どこに行ったのー!?」
2階も庭もヒポちゃんの納屋まで探し回る。
「!!・・・・・ヒポちゃんもいない!」
印刷屋に原稿を出しに行ってご主人と少し話しをして、まっすぐ帰って来た。
時間にすればたかが、30分やそこら・・・。
ダメだ。
一度冷静にならなきゃ。
ゆっくり深呼吸をして、落ち着いて、もう一度家の中を見て回ろう。
そう自分に言い聞かせて、ずっとケーキの箱を抱えたままだった事に気付く。
「私、一人で何やってるんだろ・・・。」
そっとダイニングテーブルに、少し形の変わったケーキ箱を置くと、テーブルに一枚のメモがあった。
あれ・・・?
最初っからこんな紙、あったっけ?
カサ。
メモに目を通す。
『パーてィーのイノちハ預かっタ。
カエシテ欲しけレバ、イノシカてイマデ給料ヲモッテ、一人でコイ。』
「 っ!!!」
紛れもない脅迫状だった。
なんて事なの・・・・!
クレイ、トラップ、ノル、キットン。
そしてルーミィとシロちゃん・・・・。
みんなの笑顔が走馬灯の様に脳裏を駆け巡る。
みんなの命って!!
・・・・まさかっ!
謎の行商人!?
再び心臓が早鐘を打つ。
全身の血が逆流し、頭に血が上っていくのがわかる。
膝がガタガタと震えだし、立っているのがやっとだ。
でも。
こんな所で震えている訳にはいかないっ!
みんなが危険にされされている今、助けられるのは私しかいないんだっ!
そう思った瞬間、私は家を飛び出した。
私の助けを待っている仲間の元へ!
今まで苦楽を共にしてきた、かけがえの無い私の大切な人たち。
唯一無二の存在。
私の仲間で友達で家族。
どんな事をしても、絶対に失いたくないっ!!
色んな想いが交錯して、両目には涙が溢れてきた。
馬鹿!今は泣いてる場合じゃないでしょうっ!
そう自分に言い聞かせ、ぐいっと涙を拭う。
みんなっ!
待ってて!今すぐ助けにいくからねっ!!
「・・・・・・・・・は?」
コレハ、ドウイウコト?
「パステル!こっちだ!こっちー!」
「ぱぁーるぅ!おそいんらー!」
「みんな、もう食べてるデシよ?」
「何?おめぇ、まさかまた迷子になってたんじゃねぇだろうな?」
「ぐふふ!パステルの場合、ありえるので笑えませんねー。」
「パステル・・・・迷わなかったか?」
猪鹿亭ではいつもの平和な光景が繰り広げられていた。
「?????何でみんな無事なの?」
息も絶え絶えに走ってきた私を見つけた時のみんなの反応は、私の予想とはかけ離れていた。
「もぐもぐもぐ・・・?なにがだ?」
クレイが美味しそうなお肉をほうばりながら、私を不思議そうに見つめる。
「え・・・・?みんな闇の行商人に捕まってたんでしょう?」
「はぁ?パステル。あなた、どこかで頭でもぶつけたんですか?」
キットン失礼な発言の横で、ノルが哀れみの目で私を見ている。
ここまできて、やっと私は何かがおかしいと思い始めた。
ま、まさか・・・・・。
「ぶっ!」
突然噴出した今回の騒動の犯人を睨む。
「トラップー!?一体、どう言うつもりよっ!」
騙された!
私はトラップの嘘に、まんまと騙されたのだ!
「だぁっははははっ!!まさか、本当に騙されるとはな!パステル、今日は何月何日だ?」
トラップの質問の答えがすぐに浮かび、今日がなんの日なのかまで思い出してしまった。
く、く~や~し~ぃ~!!!
「今日は4月1日!エイプリル・フールでした~!」
そう、ニヤニヤ笑いながら、美味しいそうにお肉をバクバクと口に運ぶトラップ。
「おぉ!そっかぁ。エイプリル・フールかぁ!んで?それとパステルが怒ってるのと何の関係があるんだ?」
こちらも、フォークを下ろす事無く、幸せそうに食べ続けている天然鈍感クレイ。
「ぎゃっははっは!パステルはトラップが書いた伝言メモに騙されたってことでしょう!?」
すっごく嬉しそうなキットンの馬鹿笑い。
「パステル・・・水、いるか?」
優しいノルの瞳とその心使い。
「ぱぁーるぅ!このお肉、おいしーよ!るーみぃ、しやあーせ!」
ソースを口の周りに付けたまま、幸せそうに笑顔でご飯を食べているルーミィ。
「ルーミィしゃん。ソースお顔にいっぱい付いてるデシよ?」
そう言って、いつもルーミィの隣で彼女を見守っている真っ直ぐな瞳のシロちゃん。
その何もかもが、いつも通りだった。
「ほれ!いつまでも、んな所に突っ立ってねぇで、ココ座れよ!」
そう言って自分の隣のイスをポンポンと叩くトラップを見ていたら。
ポロリ。
涙がこぼれた。
「んなっ!?泣くほど騙されたのが悔しかったのかよっ!?」
トラップの顔に焦りの色が浮かぶ。
「だ、騙されるのが悔しいんだったら、騙されねぇ様に気をつけろっていつも言ってんだろうが!」
セリフはいつもの様に厳しいかったけど、言い方が心なしか優しかった。
彼も少しは悪かったと思ってるのだろうか。
トラップのセリフに、ブンブンと首を横に振る。
「違う・・・。騙された自分には悔しいけど、みんなが無事で良かったと思ったら・・・急に涙が・・・。」
ゴシゴシと涙を拭って、ちょこんとトラップの隣に座る。
「えへへ。」
誤魔化し笑いをすると、ポンポンと頭を撫でられた。
「?」
それはトラップの大きな手だった。
少しバツの悪そうな顔で
「俺らがそんな簡単に闇の行商人にやられる訳ねぇーだろ!・・・ま。今回の嘘はちょっとやりすぎちまった。わりぃ。」
えええぇえっ!?
トラップが謝った!?
「・・・・何?それも嘘?」
恐る恐る確認する。
だって、さっきの今だもん。
信用しろって言う方が無理じゃない?
「おまえなぁー!ったく!嘘だと思うんだったらそう思っとけばいいじゃねぇか!けっ!可愛いくねぇ奴!」
そう言うと、トラップはぷいっと向こうを向いてしまった。
「ぐふふふっ!それは『嘘』でしょう?」
相変わらず嬉しそうなキットン。
「何?嘘だか本当なんだか。どっちなんだ?」
呑気なクレイ。
「さっきは本当。今のは嘘だ。」
ノルもニコニコしてる。
「だぁああぁああああぁぁっ!うっせぇーよ!誰だよ!エイプリル・フールなんて作った奴!」
トラップの明らかな八つ当たり発言にみんなで笑う。
自分から仕掛けといて、何言ってんだか。
でもトラップはますます不貞腐れてしまった。
グビグビとビールを流し込むトラップ。
そんなトラップを見ていたら、私はいい事を思いついた。
「ねぇねぇ。トラップ!」
「・・・・あんだよ。」
「あのね。大好きだよっ!」
その後、勢い良く噴出されたビールは真正面に座っていたクレイの顔面を直撃した。
そして今や、私の中でトラップの信用度はゼロどころか、マイナスだ。
ふーんだ!
来年のエイプリル・フール、見てなさいよ!
END
かーなーり、遅れましたがせっかくなので4月1日ネタを。
くっくっく!
トラップに言ってやりたい!!
「ばぁーか!ばぁーか!」って。wwww
パステルは騙された事よりも、みんなが無事だった事の方が嬉しくって涙する子だと思います。
来年のエイプリル・フールはリベンジなるのか?
(管理人含め。笑)
・・・・今からカレンダーに書き込んどかなきゃ。
イソイソ・・・
はっ・・・・!!!
し、4月が載ってない・・・。orz
早くも挫折の予感。笑
どうぞー。
《変わらぬこの時を》
「はい、確かに頂きました。
パステルさん、今回もお疲れ様でしたね。とってもいい出来ですよ!では、こちらが今回の原稿料です。」
ニコニコと、いつもの優しい笑顔で差し出された真っ白な封筒。
それを見た瞬間、嬉しさのあまり思わず頬が緩んでしまう。
今日は待ちに待ったお給料日!
わあーいっ!
お給料が貰えるって、働く最大の喜びだと思う。
何度貰ってもこの嬉しさに変わりはなくって、手にする時の喜びも同じ。
まるで、生まれて初めて手にしたお給料の様に嬉しい。
「ありがとうございます!」
私は元気にお礼を言って、待望の封筒を手にした。
そのまま、そっと自分の手で封筒の厚みを量ってみる。
くぅうう~!
入ってる!
入ってる!!
「ふふ!パステルさんのそんな嬉しそうな顔が見られるなら、いくらでもお給料をあげたくなりますね。」
ニコニコと笑顔で読み終えた原稿を大事そうに仕舞う印刷屋のご主人に、笑われてしまった。
かぁああっ・・・・!
・・・・厚みを確認したのがバレてる?
きゃーあぁぁぁあぁっ!
は、恥ずかしすぎるっ!!
「あはっ、あはははは・・・。」
乾いた笑い声が、私の口から漏れる。
漏れた笑いとは裏腹に
クレルナラ、イクラデモモライマスヨ・・・
と、心の中で、そっと呟いてみる。
なぁーんてね。
「そのお給料で、何か欲しいものでもあったんですか?」
そんな心の呟きを知る由もないご主人は、相変わらずニコニコと話しかけてくる。
欲しいもの・・・
そんなもの、自慢じゃないけどいーっぱい!ある。
暖かくなってきたから春服も欲しいし、ルーミィにも可愛い服を買ってあげたい。
読みたい本も、たーくさんあるしね。
家を持つようになって、かわいい雑貨などにも興味をそそられる。
でも、
「あはははー。欲しいものはあるんですけど、当分の生活費に消えそうです。」
これが現実。
「そうですか。まぁ、実際はそんなもんですよね。でも働いた自分へのご褒美も忘れちゃダメですよ?」
そう言うとご主人は立ち上がり、一度奥へと引っ込んだ。
ご褒美かぁ・・・。
ぼんやりと頭の中で考える。
確かに、どんなものでもひとつくらい自分の欲しいものを買うのって、いいかもしれない。
早速帰りに、前から気になっていた雑貨屋さんに寄ってみようかな。
そんな事を思っていると奥からご主人が戻ってきた。
「パステルさん、これは私からのご褒美です。」
そう言って差し出された箱には、美味しそうなケーキが沢山並んでいた。
「これを私に!?」
きゃーあっ!
すっごく、美味しいそう!!
「はい。よろしかったら皆さんで召し上がってください。」
うわぁーい!
箱にはちゃんと、ケーキが7個。
一人一個ずつの計算だ。
でもきっと、シロちゃんは食べないからルーミィが2個食べちゃうんだろうね。
ルーミィのよだれを垂らして喜ぶ顔が浮かぶ。
ふふふっ!
「ありがとうございますっ!みんなで頂きます。」
私は印刷屋のご主人に深々と頭を下げた。
「いえいえ。ではまた原稿の方もお願いしますね。」
「はいっ!」
ニコニコと笑顔で手を振るご主人にもう一度お礼を言って、私は印刷屋を後にした。
ケーキだ!
ケーキ!
ルーミィ、絶対喜ぶよっ!
よぉーし!
家に帰ったら早速、みんなでお茶にしちゃおう。
そしてお給料も貰ったし、今日は猪鹿亭でパァーッと食べよっかな!?
春のポカポカ陽気も手伝って、スキップでもしちゃいたい気分。
みんなの喜ぶ顔が早く見たくて、自然といつもより早歩きで家へと急ぐ。
暖かい春が来て、お給料を貰った上にケーキまで!!
今日はびっくりするくらい嬉しい事がたくさん!
気がつくと家の玄関前にいた。
玄関のノブに手を掛けた瞬間、雑貨屋さんに寄るのを忘れている事に気がついたけど、ちっとも気にならない。
だって幸せな気持ちでいっぱいなんだもの。
私はとっても幸せな気分のまま、勢いよく玄関の戸を開けた。
「たっだいまぁー!!」
元気いっぱい上機嫌な私の声だけが空しく家中に響く。
・・・・・あれ?
誰も居ないの?
おかしいなぁ。今日はみんな家に居るって言ってたのに。
「ねぇ!誰も居ないのー?」
静まり返った家の中からは人の気配がするのに返事がない。
ざわり。と嫌な予感が胸を過ぎる。
・・・・何?
私が出かけている間に、何かがあった?
「ルーミィー!シロちゃーん!」
バンッ!
リビングの扉を開ける。
「クレイっ!?」
・・・・いない。
バン!
「キットン?」
バン!
「ノルっ!?」
バン!
「トラップッー!?」
キッチンも、ダイニングもそれこそ風呂場も物置も。
家中の扉という扉を開けて探しても、そこにいるはずのみんなの笑顔は見つからなかった。
一体、どういう事なのっ?
心臓が早鐘のように、ドクドクと脈を打つ。
嫌な予感だけが頭を過ぎる。
あ、頭が痛い・・・・。
「みんな・・・どこに行ったのー!?」
2階も庭もヒポちゃんの納屋まで探し回る。
「!!・・・・・ヒポちゃんもいない!」
印刷屋に原稿を出しに行ってご主人と少し話しをして、まっすぐ帰って来た。
時間にすればたかが、30分やそこら・・・。
ダメだ。
一度冷静にならなきゃ。
ゆっくり深呼吸をして、落ち着いて、もう一度家の中を見て回ろう。
そう自分に言い聞かせて、ずっとケーキの箱を抱えたままだった事に気付く。
「私、一人で何やってるんだろ・・・。」
そっとダイニングテーブルに、少し形の変わったケーキ箱を置くと、テーブルに一枚のメモがあった。
あれ・・・?
最初っからこんな紙、あったっけ?
カサ。
メモに目を通す。
『パーてィーのイノちハ預かっタ。
カエシテ欲しけレバ、イノシカてイマデ給料ヲモッテ、一人でコイ。』
「
紛れもない脅迫状だった。
なんて事なの・・・・!
クレイ、トラップ、ノル、キットン。
そしてルーミィとシロちゃん・・・・。
みんなの笑顔が走馬灯の様に脳裏を駆け巡る。
みんなの命って!!
・・・・まさかっ!
謎の行商人!?
再び心臓が早鐘を打つ。
全身の血が逆流し、頭に血が上っていくのがわかる。
膝がガタガタと震えだし、立っているのがやっとだ。
でも。
こんな所で震えている訳にはいかないっ!
みんなが危険にされされている今、助けられるのは私しかいないんだっ!
そう思った瞬間、私は家を飛び出した。
私の助けを待っている仲間の元へ!
今まで苦楽を共にしてきた、かけがえの無い私の大切な人たち。
唯一無二の存在。
私の仲間で友達で家族。
どんな事をしても、絶対に失いたくないっ!!
色んな想いが交錯して、両目には涙が溢れてきた。
馬鹿!今は泣いてる場合じゃないでしょうっ!
そう自分に言い聞かせ、ぐいっと涙を拭う。
みんなっ!
待ってて!今すぐ助けにいくからねっ!!
「・・・・・・・・・は?」
コレハ、ドウイウコト?
「パステル!こっちだ!こっちー!」
「ぱぁーるぅ!おそいんらー!」
「みんな、もう食べてるデシよ?」
「何?おめぇ、まさかまた迷子になってたんじゃねぇだろうな?」
「ぐふふ!パステルの場合、ありえるので笑えませんねー。」
「パステル・・・・迷わなかったか?」
猪鹿亭ではいつもの平和な光景が繰り広げられていた。
「?????何でみんな無事なの?」
息も絶え絶えに走ってきた私を見つけた時のみんなの反応は、私の予想とはかけ離れていた。
「もぐもぐもぐ・・・?なにがだ?」
クレイが美味しそうなお肉をほうばりながら、私を不思議そうに見つめる。
「え・・・・?みんな闇の行商人に捕まってたんでしょう?」
「はぁ?パステル。あなた、どこかで頭でもぶつけたんですか?」
キットン失礼な発言の横で、ノルが哀れみの目で私を見ている。
ここまできて、やっと私は何かがおかしいと思い始めた。
ま、まさか・・・・・。
「ぶっ!」
突然噴出した今回の騒動の犯人を睨む。
「トラップー!?一体、どう言うつもりよっ!」
騙された!
私はトラップの嘘に、まんまと騙されたのだ!
「だぁっははははっ!!まさか、本当に騙されるとはな!パステル、今日は何月何日だ?」
トラップの質問の答えがすぐに浮かび、今日がなんの日なのかまで思い出してしまった。
く、く~や~し~ぃ~!!!
「今日は4月1日!エイプリル・フールでした~!」
そう、ニヤニヤ笑いながら、美味しいそうにお肉をバクバクと口に運ぶトラップ。
「おぉ!そっかぁ。エイプリル・フールかぁ!んで?それとパステルが怒ってるのと何の関係があるんだ?」
こちらも、フォークを下ろす事無く、幸せそうに食べ続けている天然鈍感クレイ。
「ぎゃっははっは!パステルはトラップが書いた伝言メモに騙されたってことでしょう!?」
すっごく嬉しそうなキットンの馬鹿笑い。
「パステル・・・水、いるか?」
優しいノルの瞳とその心使い。
「ぱぁーるぅ!このお肉、おいしーよ!るーみぃ、しやあーせ!」
ソースを口の周りに付けたまま、幸せそうに笑顔でご飯を食べているルーミィ。
「ルーミィしゃん。ソースお顔にいっぱい付いてるデシよ?」
そう言って、いつもルーミィの隣で彼女を見守っている真っ直ぐな瞳のシロちゃん。
その何もかもが、いつも通りだった。
「ほれ!いつまでも、んな所に突っ立ってねぇで、ココ座れよ!」
そう言って自分の隣のイスをポンポンと叩くトラップを見ていたら。
ポロリ。
涙がこぼれた。
「んなっ!?泣くほど騙されたのが悔しかったのかよっ!?」
トラップの顔に焦りの色が浮かぶ。
「だ、騙されるのが悔しいんだったら、騙されねぇ様に気をつけろっていつも言ってんだろうが!」
セリフはいつもの様に厳しいかったけど、言い方が心なしか優しかった。
彼も少しは悪かったと思ってるのだろうか。
トラップのセリフに、ブンブンと首を横に振る。
「違う・・・。騙された自分には悔しいけど、みんなが無事で良かったと思ったら・・・急に涙が・・・。」
ゴシゴシと涙を拭って、ちょこんとトラップの隣に座る。
「えへへ。」
誤魔化し笑いをすると、ポンポンと頭を撫でられた。
「?」
それはトラップの大きな手だった。
少しバツの悪そうな顔で
「俺らがそんな簡単に闇の行商人にやられる訳ねぇーだろ!・・・ま。今回の嘘はちょっとやりすぎちまった。わりぃ。」
えええぇえっ!?
トラップが謝った!?
「・・・・何?それも嘘?」
恐る恐る確認する。
だって、さっきの今だもん。
信用しろって言う方が無理じゃない?
「おまえなぁー!ったく!嘘だと思うんだったらそう思っとけばいいじゃねぇか!けっ!可愛いくねぇ奴!」
そう言うと、トラップはぷいっと向こうを向いてしまった。
「ぐふふふっ!それは『嘘』でしょう?」
相変わらず嬉しそうなキットン。
「何?嘘だか本当なんだか。どっちなんだ?」
呑気なクレイ。
「さっきは本当。今のは嘘だ。」
ノルもニコニコしてる。
「だぁああぁああああぁぁっ!うっせぇーよ!誰だよ!エイプリル・フールなんて作った奴!」
トラップの明らかな八つ当たり発言にみんなで笑う。
自分から仕掛けといて、何言ってんだか。
でもトラップはますます不貞腐れてしまった。
グビグビとビールを流し込むトラップ。
そんなトラップを見ていたら、私はいい事を思いついた。
「ねぇねぇ。トラップ!」
「・・・・あんだよ。」
「あのね。大好きだよっ!」
その後、勢い良く噴出されたビールは真正面に座っていたクレイの顔面を直撃した。
そして今や、私の中でトラップの信用度はゼロどころか、マイナスだ。
ふーんだ!
来年のエイプリル・フール、見てなさいよ!
END
かーなーり、遅れましたがせっかくなので4月1日ネタを。
くっくっく!
トラップに言ってやりたい!!
「ばぁーか!ばぁーか!」って。wwww
パステルは騙された事よりも、みんなが無事だった事の方が嬉しくって涙する子だと思います。
来年のエイプリル・フールはリベンジなるのか?
(管理人含め。笑)
・・・・今からカレンダーに書き込んどかなきゃ。
イソイソ・・・
はっ・・・・!!!
し、4月が載ってない・・・。orz
早くも挫折の予感。笑
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