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ゆうゆうかんかん 悠悠閑閑

悠悠閑閑へようこそ! 当ブログはフォーチュンクエストトラパス中心サイトです。 二次小説や日記などがメインの ブログ名のまま、のんびり運営です。 よろしければどうぞ!

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* 注意 *

未来トラパスです。
トラパス以外出てきません。
それでもよろしければ、どうぞー☆

 



ここは幸せな時間を思い出させてくれる、大切な場所


この部屋に差し込むぬくもりは、今も昔と何ひとつ変わらない


ただ、


ただひとつ違うのは


優しく私の名前を読んでくれていた大好きな人達が


いない事だけ





《 love letter 》



静かな部屋に「カタンッ」と小さな音が響く。
タンスの上に置いたままの古い写真立てをそっと手に取る。
中には純白の衣装に身を包み、幸せそうに寄り添う二人の笑顔。
「幸せそうだなぁ。二人とも」
そう、心から思ったと同時に、自然と笑みがこぼれていた。
無機質なガラスの上から優しくなぞる二人は、私の記憶の中の彼らよりもかなり若かった。
私の両親は結婚式を挙げていなかった。
駆け落ち同然で結婚した二人には、そんな余裕はどこにもなかったのだろう。
ただ幸運な事に、気前の良い写真屋さんが「せっかくなのだから」とこの写真を撮ってくれたと、嬉しそうに話してくれた。
その時の母の笑顔は今でも覚えている。
両親はそんな写真をとても大事にしていたのだ。


「あんだよ。こんなとこにいたなら、返事くらいしろよ」
突然私を現実へと引き戻した声。
「トラップ。どうしたの?」
振り返ると部屋の入り口に、長い付き合いの赤毛の盗賊が立っていた。
「どうしたの?じゃねぇーの!」
あらら。
怒ってる?
怒ったような呆れたような。
そんなトラップの表情は、ずいぶん前から私の事を呼んでいたに違いない。
しまった。
またやっちゃった・・・
「ごめん!気づかなかった」
「・・・ったく。さっきからずーっと呼んでるのに、うんともスンとも言わねぇし。
おめぇが荷物運びたいって言うから手伝いに来たのに、ちっとも進んでませんけどー?」
言われて外を見る。
うそっ!?
さっきはまだお昼だったのに、空はもう「夕方ですよ」と言っていた。
「げげっ!トラップどうしよう!?全然進んでない!お母さんに1週間以内に帰りますって言って来たのに・・・」
急に慌てだした私を見て、トラップは呆れ顔のままため息を吐いて、ベットへ腰掛けた。
「別に1週間じゃなくても大丈夫だろ。おふくろもゆっくりして来いって言ってたし。
ま。でもこの調子じゃあ終わらねぇぞ」


私とトラップはもう、パーティの仲間ではない。
6年間組んでいたパーティは1年ほど前に解散した。
みんな、それぞれ自分の道を歩いて行く為に、みんなで決めたことだった。
そして私はトラップと数ヵ月後に結婚する。
ドーマに住む事になって、ガイナの家に置いたままだった荷物を運びたいからと、二人でガイナの家へ帰ってきたのだ。
でもね。
家中にあるもの全てに想い出があって、手に取るたびに浸って・・・やっとの思いで次の荷物を手に取ってみるも、その物にもやっぱり想い出がぎっしり詰まっていて・・・・。
つまり、ちっーとも進まないのだ!
トラップはそんな私の様子を一日中見ているせいか、もうあまり文句を言わなくなった。
最初のころはガミガミ言ってたんだけどね、いい加減諦めたらしい。
あはははは。
そりゃそうだよね。
そして、私の些細な想い出を汲んでくれるのだ。
静かに。


「両親が大切にしていた写真なの」
トラップの隣に腰掛けながら、古くなった写真立てを渡す。
数ヶ月後には、私たちも同じ表情をしているのだろう。
「幸せそうな顔してんなぁー。今の俺らと同じ年くらいじゃね?」
「うん、そうだね。我が家にある写真ってこれ一枚だけなんだ」
昔は写真ってすごく高価だったから、この家に写真が残っている事自体が奇跡だった。
「ふーん。今じゃ大分普及してっけど、当時なら珍しいだろうな」
そう言ってトラップは、写真立てをひっくり返した。
彼にしたら何気ない行動だったのだろう。
「ん?何だこれ」
トラップの声に何?何?と、手元を覗き込む。
すると写真立ての裏側の止め具で押さえられている板と板の間から、紙切れがぺろっと出ていた。
「紙・・・?かな?」
素直な意見を口にしたとたん、頭に衝撃が走る。
「いったぁーい!どうして叩くのよ!?」
「んな事見りゃわかんだろうーが!まったく。おめぇはもっと頭を使え!頭を!
おい・・・開けてもいいよな?」
そう言いながら止め具を外していくトラップ。
私が返事する前に開けてるじゃん!と思わず突っ込みそうになった。
ま。
いいんだけどね。私も興味あるし。
「・・・・メモ?」
ガサガサと四つ折の紙を開くいて、さっと目を通したトラップは何も言わず、すぐに畳んでしまった。
・・・・・・へ?
なんで??
「え?何?何が書いてあったの?」
両親が大切にしていた写真立ての後ろから出てきたんだよ?
断然、何が書いてあるのか気になるじゃない?
なのに、自分だけ見て閉じちゃうって・・・・・!?
「わりぃ。お前のだった」
四つ折に戻された紙を、トラップは真剣な表情で私へと差し出す。
「はぁ?私の?」
わけが分からない。
私には見覚えのない紙だし、どうしてこんな所に挟んであるのか見当もつかない。
疑問に思いながらもトラップから紙を受け取る。
古い紙なのだろうか。
色褪せてはいないけれど、開くと乾いた音がした。
隣でトラップが静かに見守っているのがわかる。
ゆっくりと広げると、最初に飛び込んできた文字は
『ジグレス450年2月5日』
という日付。
「私の誕生日・・・・・?」



********************************************



大好きなパステルへ



 
『貴女に逢えて本当に良かった』
 

パステルに逢えた、お母さんの気持ちです。

今日、お父さんとお母さんの所に産まれてきてくれて、本当にありがとう。

二人とも、とっても楽しみにしていたのよ。

パステルの小さく握り締めた手を、今も握りながらこの手紙を書いています。

とても小さな身体に、たくさんの生きる力と希望を持って産まれたパステルは、

これからどんな人生を歩んでいくのでしょうね。

この手紙を読む頃には、随分と大きくなっているのかな?

友達と仲良く遊べているかしら。

将来の夢を見つけているかもしれないわね。



パステル。

貴女はこれからさまざまな人たちと出会い、嬉しい事、楽しい事、

時には泣くほど辛く悲しい事があるでしょう。

でも、どんな時も、

貴女の思う道を信じて歩いて行きなさい。

お父さんとお母さんはどんな時も、

貴女の事をそばで見守っています。

パステルの人生に幸多からんことを願って・・・・


HAPPY BIRTHDAY!




お母さんより


ジグレス450年2月5日

*********************************************




ぽた。



ぽた・・・ぽた。




・・・・いつからだろう。
この紙に書かれた字が、母の字だと分かった瞬間から私は泣いていた。
続きを読みたいのに、あふれる涙が邪魔をする。
数十年の時を超えて届いた手紙から、あの頃と変わらない両親のぬくもりを感じて、嬉しくて泣いた。
そして、
返事を返せない現実が悔しくて、泣いた。
ふいに、大きな腕が私を優しく包んでくれ、そのまま全てを抱きしめてくれた。
私はトラップの胸に顔を埋め、世界で一番大好きな場所で子供の様に泣き続けた。



幸せだと伝えたくて          



END



パステル誕生日おめでとう!!!!

 

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