ゆうゆうかんかん 悠悠閑閑
悠悠閑閑へようこそ! 当ブログはフォーチュンクエストトラパス中心サイトです。 二次小説や日記などがメインの ブログ名のまま、のんびり運営です。 よろしければどうぞ!
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
《おとーさんと弟子》
トントン。
夫婦の寝室のベットの上でいつもの通り道具の手入れをしていると、遠慮がちにそのドアをノックする音が聞こえた。
「んー?」
ま、手入れもひと段落した所だし、相手してやるか。
そう思いながら、固まった背中をほぐしながら足を伸ばしていると、ゆっくり開いたドアから赤毛が覗く。
「おとーさん。あのね、今・・・ちょっといい?」
・・・なんだぁ?こいつ、元気ねぇな・・・。
いつもはもっと、『しっかりしたお姉ちゃん』でパステルにも弟にもビシビシ厳しい長女なんだが、・・・・今日の様子はいつもと違った。
日ごろしっかりしている奴がそうじゃないと、なんてゆーか、親としても心配だ。
「なんだよ?どーかしたのか?」
あえて明るく聞きながらポンポンとベットを叩いて、『ここに座れ』と誘ってやると、素直に隣にチョコンと座った。
んだが・・・・・
「・・・・・・・・・・・。」
・・・なんだよ。だんまりかよ。
本当にこいつらしくねーな。
「聞いて欲しい事があんだろ?言わなきゃわかんねーぞ。」
そう俺が言ったとたん、ポロポロと涙をこぼし始めたから驚いた。
・・・・こいつが泣くの、久しぶりに見たな・・・・・。
こいつが泣くって事はよっぽどの話なんだろう。
優しく頭をぽんぽんと叩いてやって、大丈夫だからと言うとやっと決心が付いたみてぇでポツリ、ポツリと話し始めた。
「あのね、私盗賊になるの諦めようと思って。」
盗賊の俺から見ても、持って産まれた盗賊としての才能に恵まれた我が子。
本人も自ら日々の盗賊修行にやる気を持って頑張っているのを一番近くで見ていた俺が良く知ってる。
なのに、いきなりどーしたんだ?
もちろん俺はこいつにブーツ一家を継いで貰おうなんて気はさらさらにねぇし、本人がやりたいって言うならやればいいと俺はずっと思ってる、無理強いをする気は一切無い。
だから盗賊になる、ならないは本人の意思を尊重している。
・・・でもこいつは、俺みたいな盗賊になりたいと、人一倍毎日辛い修行にも耐えてきてたじゃねぇーか。
・・・・聞いてみなきゃわかんねーな。
「ふーん?で?」
「私、どんなに頑張っても、この鍵の解除が出来なくって・・・。」
そう言って傷だらけの手に握り締めたものを見せてくれた。
それは俺が一ヶ月も前に渡した鍵開け練習用の鍵だった。
「・・・・おまえ、一ヶ月間ずーっとこれを解こうとしてたのか?」
「うん・・・・。でも、どんなに頑張っても解けないの。私盗賊に向いて無いのかなぁ・・・。」
・・・なーる。そう言う訳か。
ま、盗賊の修行してる奴なら何度と無く陥るスランプみたいなもんだ。
コイツの技術があれば、あとはコツさえ気付けばクリア出来んだけどなー。
でもこればっかりは自分で気づかなきゃ意味がねぇ。
本人も解き方を教えて欲しいと言ってこねぇって事は、そこら辺を心得ているからだと思う。
にしてもやっぱり根性あるな、こいつ。
俺は昔、3日で投げ出したけどなこの鍵・・・。
こういうところはパステルに似てるよなー。
「そっか。お前の気持ちはよく解った。じゃ、この鍵はもういらねーよな。返してもらうぞ。」
俺が冷たくそう言って、傷だらけの手から鍵を奪おうとすると
「・・・ダメッ!!」
一気に俺の手から鍵は奪い返された・・・・。
心の中でニヤリと勝ち誇った顔の俺。
でもあえて表情を変えずに追い討ちをかけてやる。
「いらねぇんだろ?それ。」
「・・・・・いる!」
「盗賊にならねぇ奴にはそんもん、必要ねぇだろ。返せよ。」
「やだ!・・・・やだやだやだっ!!私、盗賊になりたいんだもんっ!!」
両目に涙をいっぱい浮かべながら、必死に鍵を取られまいとしているわが弟子。
「じゃあ、本気で盗賊になりたいなら今日中にその鍵、クリアしてみろ。それが出来ねぇんだったらきっぱりあきらめろ。お前には向いてねぇよ。」
どこまでも突き放した言い方の俺の言葉に盗賊見習いは、はっと息を呑んで
「・・・わかった。出来たら持ってくる。」
『絶対、解いてやる!』そう決意に満ちた表情で部屋を出て行った。
・・・やっぱり根性あるよなあいつ。
外見は俺に瓜二つだけど、あーゆう根性あるところはパステルに似てる。
いい盗賊になれるから、頑張れ。
そんな風に心の中でエールを送っていると、またドアが開いた。
「・・・なんだよ。」
「ふふふ。ちゃんと助言してくれたんだね。トラップ。」
次に顔を覗かせたのはパステルだった。
「俺は助言なんかしてねーよ。あいつが勝手にやるって言って出てったんだよ。」
そう、俺は否定してるのにパステルは相変わらず、ニコニコしている。
「ううん。トラップなら上手にあの子を立直らせてくれると思ってたもん。」
あの子、私に似てるからさ。
そう言ってパステルは部屋を出て行った。
・・・・何、俺あいつに上手い事使われたってことか・・・?
ま、取りあえずは俺の一番弟子の報告待ちだな。
大丈夫、もうすぐしたらあいつは絶対笑顔でこのドアをノックする。
けっ、次はもっと難しいのを用意しといてやるから覚悟しとけよ。
おしまい。
戻る
トントン。
夫婦の寝室のベットの上でいつもの通り道具の手入れをしていると、遠慮がちにそのドアをノックする音が聞こえた。
「んー?」
ま、手入れもひと段落した所だし、相手してやるか。
そう思いながら、固まった背中をほぐしながら足を伸ばしていると、ゆっくり開いたドアから赤毛が覗く。
「おとーさん。あのね、今・・・ちょっといい?」
・・・なんだぁ?こいつ、元気ねぇな・・・。
いつもはもっと、『しっかりしたお姉ちゃん』でパステルにも弟にもビシビシ厳しい長女なんだが、・・・・今日の様子はいつもと違った。
日ごろしっかりしている奴がそうじゃないと、なんてゆーか、親としても心配だ。
「なんだよ?どーかしたのか?」
あえて明るく聞きながらポンポンとベットを叩いて、『ここに座れ』と誘ってやると、素直に隣にチョコンと座った。
んだが・・・・・
「・・・・・・・・・・・。」
・・・なんだよ。だんまりかよ。
本当にこいつらしくねーな。
「聞いて欲しい事があんだろ?言わなきゃわかんねーぞ。」
そう俺が言ったとたん、ポロポロと涙をこぼし始めたから驚いた。
・・・・こいつが泣くの、久しぶりに見たな・・・・・。
こいつが泣くって事はよっぽどの話なんだろう。
優しく頭をぽんぽんと叩いてやって、大丈夫だからと言うとやっと決心が付いたみてぇでポツリ、ポツリと話し始めた。
「あのね、私盗賊になるの諦めようと思って。」
盗賊の俺から見ても、持って産まれた盗賊としての才能に恵まれた我が子。
本人も自ら日々の盗賊修行にやる気を持って頑張っているのを一番近くで見ていた俺が良く知ってる。
なのに、いきなりどーしたんだ?
もちろん俺はこいつにブーツ一家を継いで貰おうなんて気はさらさらにねぇし、本人がやりたいって言うならやればいいと俺はずっと思ってる、無理強いをする気は一切無い。
だから盗賊になる、ならないは本人の意思を尊重している。
・・・でもこいつは、俺みたいな盗賊になりたいと、人一倍毎日辛い修行にも耐えてきてたじゃねぇーか。
・・・・聞いてみなきゃわかんねーな。
「ふーん?で?」
「私、どんなに頑張っても、この鍵の解除が出来なくって・・・。」
そう言って傷だらけの手に握り締めたものを見せてくれた。
それは俺が一ヶ月も前に渡した鍵開け練習用の鍵だった。
「・・・・おまえ、一ヶ月間ずーっとこれを解こうとしてたのか?」
「うん・・・・。でも、どんなに頑張っても解けないの。私盗賊に向いて無いのかなぁ・・・。」
・・・なーる。そう言う訳か。
ま、盗賊の修行してる奴なら何度と無く陥るスランプみたいなもんだ。
コイツの技術があれば、あとはコツさえ気付けばクリア出来んだけどなー。
でもこればっかりは自分で気づかなきゃ意味がねぇ。
本人も解き方を教えて欲しいと言ってこねぇって事は、そこら辺を心得ているからだと思う。
にしてもやっぱり根性あるな、こいつ。
俺は昔、3日で投げ出したけどなこの鍵・・・。
こういうところはパステルに似てるよなー。
「そっか。お前の気持ちはよく解った。じゃ、この鍵はもういらねーよな。返してもらうぞ。」
俺が冷たくそう言って、傷だらけの手から鍵を奪おうとすると
「・・・ダメッ!!」
一気に俺の手から鍵は奪い返された・・・・。
心の中でニヤリと勝ち誇った顔の俺。
でもあえて表情を変えずに追い討ちをかけてやる。
「いらねぇんだろ?それ。」
「・・・・・いる!」
「盗賊にならねぇ奴にはそんもん、必要ねぇだろ。返せよ。」
「やだ!・・・・やだやだやだっ!!私、盗賊になりたいんだもんっ!!」
両目に涙をいっぱい浮かべながら、必死に鍵を取られまいとしているわが弟子。
「じゃあ、本気で盗賊になりたいなら今日中にその鍵、クリアしてみろ。それが出来ねぇんだったらきっぱりあきらめろ。お前には向いてねぇよ。」
どこまでも突き放した言い方の俺の言葉に盗賊見習いは、はっと息を呑んで
「・・・わかった。出来たら持ってくる。」
『絶対、解いてやる!』そう決意に満ちた表情で部屋を出て行った。
・・・やっぱり根性あるよなあいつ。
外見は俺に瓜二つだけど、あーゆう根性あるところはパステルに似てる。
いい盗賊になれるから、頑張れ。
そんな風に心の中でエールを送っていると、またドアが開いた。
「・・・なんだよ。」
「ふふふ。ちゃんと助言してくれたんだね。トラップ。」
次に顔を覗かせたのはパステルだった。
「俺は助言なんかしてねーよ。あいつが勝手にやるって言って出てったんだよ。」
そう、俺は否定してるのにパステルは相変わらず、ニコニコしている。
「ううん。トラップなら上手にあの子を立直らせてくれると思ってたもん。」
あの子、私に似てるからさ。
そう言ってパステルは部屋を出て行った。
・・・・何、俺あいつに上手い事使われたってことか・・・?
ま、取りあえずは俺の一番弟子の報告待ちだな。
大丈夫、もうすぐしたらあいつは絶対笑顔でこのドアをノックする。
けっ、次はもっと難しいのを用意しといてやるから覚悟しとけよ。
おしまい。
戻る
PR