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ゆうゆうかんかん 悠悠閑閑

悠悠閑閑へようこそ! 当ブログはフォーチュンクエストトラパス中心サイトです。 二次小説や日記などがメインの ブログ名のまま、のんびり運営です。 よろしければどうぞ!

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《トラップの好きな人》



「ねぇパステル。トラップに今,好きな子がいるか聞いて来て欲しいんだけど。」

シルバーリーブに居てると、こんなお願いはしょっちゅうだ。
いつもの私なら、うんざりしながらこう言う。
「悪いけど、本人に直接確認してちょうだい。」
ってね。
昔は頼まれる度に律儀に聞いてあげてたんだけど・・・・いつからかトラップがね、答えてくれないようになった。

答えてくれないばかりか、私を睨んでくるし機嫌も一気に悪くなるんだよね。
私は聞かれた事を伝えてるだけなのによ!?
だから最近は、私もこの手の質問には関わらないようにしているんだ。
・・・けどね、今回は違った。
「えっ!?今、トラップの好きな人って言った・・・よね?」
「うん、そう。トラップの好きな人。気になってるくらいでもいいんだけど、そう言う相手がいるのか、聞いてきてくれない?」
改めて私に『お願い』をしている人に確認する。
「パステルにしか頼めなくって・・・。」
そう言って照れた様に笑ってる人物・・・。

(いや!パステル!世の中にはいろんな人がいるんだから、偏見の目で見ちゃダメよ!)
(でもトラップにそんな趣味は無いと思うし・・・。)
(ううん。他人が口出すことじゃないよね!ここはトラップに任せよう!)
そう自分に言い聞かせて
「もしも、力になれなかったらごめんね。」
と相手に謝った。
でも相手の人はニッコリ笑って、
「ううん。それはそれでもいいから、パステルからトラップに聞いてくれる事に意味があるからね。あ。もしも教えてくれなかったら名前だしてくれてもいいから。」
「あなたの名前、トラップに言ってもいいの?」
「うん。大丈夫!で、もしも『好きな人はいない』って返事だったら、告白するつもりだからってトラップに伝えて。」
じゃあ、よろしく。と言って帰っていった。


        ん。
私は、なんてトラップに伝えたらいいんだろう。
今まで通り「好きな子いてる?」なんて聞いてもきっと教えてくれないだろうし、きちんと事情を話すべき・・・?
本人も名前出していいよって言ってたもんね。
私なら、告白する前に「私、あなたが好きですよ!」なんて、とてもじゃないけど言えないけどさ。
あの人・・・よっぽど自信があるのかなあ?

私がウンウン悩んでいると、誰かが私の肩をポンポンと叩いた。

「ト、トラップー!!??」

振り返ると、悩みの張本人がいきなり立っていたからびっくり。

「んな、驚くこたぁねぇだろーが。・・・・・それより、あいつと何話してたんだ?」

ムッとした顔のトラップ。

「あいつって?」

「さっきまで、ここでしゃべってたじゃねーか。」

ああ。私の頭を悩ませてる、あの会話ね・・・。

私があれこれ悩んでも仕方ないよね、「実はね・・・」と話を切り出す事にした。

「さっきの人に、トラップに好きな人がいるか聞いて欲しいって頼まれたの。」

「はあぁ!?お前じゃなくて、俺の好きな人?あいつが?なんで?」

そんな矢継ぎ早に質問されても、私だってわかんないよー!

こっちが聞きたいくらいなのに。

「私も確認したんだよ?トラップだよね?って。でも本人はそうだって言い切るし、人の恋愛感に口出しするのも悪いかなって思って・・・引き受けちゃった。」

トラップは眉間にしわを寄せて、頭が痛いって顔をしてる。私も頭痛いよ・・・。

状況に付いていけないもん。気持ちがね。

「どうする?トラップ、なんて返事しておけばいい?」

トラップはチラッと私を見て、

「・・・他にあいつ、何も言ってなかったのか?」

ため息をつきながら、険しい顔で聞いてくる。

体中から『なんで俺なんだ?』って空気をかもし出しているし。

うんうん。解るよ、トラップの気持ち!

「えーっとね、・・・言いにくいんだけど・・・」

「・・・なんだよ。」

次の言葉を神妙な面持ちで、待ってるトラップだけど・・・相手の気持ちを伝えたら、傷つくんじゃないだろうか?

「いいから言えよ!」

気の短いトラップに急かされる。

えーい!なるようになれっ!

「実は、トラップに好きな人がいないなら、告白するって言ってたんだ。」

トラップの体がピシッ!と固まった。

そりゃそうだよね。固まるよねふつう。

「大丈夫?トラップ・・・。」

「告白って、俺に告白するって言ってたのか?あいつ。」

「えっと・・・」

あれ?どうだったっけ?告白するとは言ってたけど、『トラップに』とは言ってなかったかもしれない。

そう伝えると、いきなりトラップの表情が変わった。

さっきまでは難しい顔をしていたのに、憮然とした顔に変わっている。

「おまっ!誤解させんじゃねーよ!男に告白されたのかと思って、びびっただろーが。」

「えぇ!?なんで?彼、トラップの事が好きなんでしょ?」

そう。私に頼んできた相手は男の人で、私がよく行く図書館で司書をしてる人なんだよね。

すごく好青年って感じで、話もよく弾む相手だったから、「トラップの好きな人を・・」って言われた時の私の驚きは半端じゃなかった。

・・・んだけど、あれ?違うの?

「お前、どこまで鈍いんだよ。告白されるのは俺じゃなくって、十中八九お前だろーが。」

「えええぇえ!!??わたしー!?」

予想だにしてなかった答えに目をひん剥く。

「んじゃ、あいつに俺には好きなやつはいねぇって伝えておいてくれ。頑張れよ、パステル。」

ニヤッと笑って、意地悪な笑顔のまま私を置いて去っていくトラップ・・・。

うそでしょー!?なんで、こんな展開になるのー!?

いやだー!気が重ーい!!

1人途方に暮れていると、トラップが走って戻ってきた。
「言い忘れてた。あいつに俺が『ぶっ殺す!』って言ってたって伝えとけ。絶対伝えろよ!・・・んな悲壮な顔すんじゃねぇーよ。大丈夫だって。じゃあな。」
・・・・・・・って、全然大丈夫じゃなーい!!!
1人残された私の頭はまだ、痛いままだった・・・。



おしまい。


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