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ゆうゆうかんかん 悠悠閑閑

悠悠閑閑へようこそ! 当ブログはフォーチュンクエストトラパス中心サイトです。 二次小説や日記などがメインの ブログ名のまま、のんびり運営です。 よろしければどうぞ!

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《冒険者カード トラップ編》



あれー?
トラップってば、どこに行っちゃったんだろう。
昨日あれだけ「今日は家にいてね。」って、念を押したのにまさか、出掛けたんじゃないでしょうね!?

おっと、こんにちは。パステルです。
実は今日は、この間のクレイに引き続き、トラップの取材をさせてもらう予定なのね。
絶対、部屋で寝てるんだと思って覗いたのに、部屋はもぬけの殻。
家の中も静かだし、もしかして誰もいないのかなぁ。

下に降りてみると、話し声が聞こえてきた。
この声はキットンだ。トラップの声もする。なーんだ、ダイニングにいたのね。
ダイニングを覗くと、二人で朝ごはんを食べていたらしい。
「トラップ、ごはん食べ終わった?」
「んあ?今終わったとこ。」
コーヒーを一口飲んで、「ごっそさん。」と席を立とうとしているから慌てる。
「ちょっと待って、このままでいいから取材させてくれない?」
慌ててトラップを引き止めると、ニヤリと笑って、「1000G!」と手のひらをヒラヒラさせた。
こ、こいつはー。出された手のひらをバチンッと叩いて、
「はい。私の感謝の気持ちよ。受け取って!」
というと、
「ぎゃははは。それは受け取っとかないと後悔しますね。1000G以上の価値がありますよ。トラップには。」
キットンは笑いながら「感謝は余計ですけどねー。」と言った。

どう言う事?感謝の気持ちがいらないって事?私1人が首をかしげていると、
「・・・ふん。で、するならちゃっちゃとインタビューしろよ。しねえなら、俺は寝るぞ。」
なんてトラップが言うもんだから、また慌てる。
「します。やりますとも!」

改めて3人席に着く。何でキットンも座ってるのか解らないけど・・・ま、邪魔しないならいいや。
「じゃあ早速、冒険者カード見せてくれる?」
私がお願いすると、首にさげていた冒険者カードを投げてよこした。
「えーっと、職業は盗賊・・・」
「おまっ!ばっかじゃねぇーの?そんなの見なくってもわかんだろーが!」
あったま悪いんじゃねぇ?なんて言いながら、人差し指を頭の横でくるくる回してパアにした。
カチン!こいつはバカにしよって!
「あのねー。一応確認してるの!もしかしたらあんたの事だから、盗賊兼ギャンブラーとかになってるかもしれないでしょ!?」
もちろん冗談のつもりだけど、トラップならありえるかもしれない。
「ぶっはははは!パステル、それより盗賊兼トラブルメーカーなんてどうですか?」
「いい!いいね、それ!ぴったりだよ!」
私とキットンが二人で盛り上がっていると、
「お前と一緒にすんじゃねぇー!」と、ポカリと叩かれた。
「いったーい。もう。叩かなくてもいいでしょー?でもさぁ、もしもあと一つ職業が選べるんだったら、トラップは何がいい?」
思わず興味が沸いてトラップに聞くと、きっぱりと言われた。

「ない。」

あまりの即答に思わず聞き返す。
「え?ないの?何にも?」
「ああ。ないな。」
何度聞いても、無いと答えるトラップに私はびっくりした。
私だったらやりたい職業いっぱいあるのになぁ。
魔法使いとかレンジャーなんかもカッコイイよね。ま、あくまでも『出来るなら』が大前提だけどね。
でもトラップは盗賊以外になりたいものは無いという。
それって、凄いことなんじゃ・・・。

「ねぇ、本当にないの?例えば魔法使いとかさ。」
しつこく確認すると案の定、しつこいぞと言う顔をされた。
「ないったらない。俺の職業は今までもこれからも盗賊だけだ。一人前の盗賊になる為なら、どんな辛い修行にも耐えてやる。この仕事では誰にも負けたくねぇからな。俺はこの仕事が好きで、誇りを持ってやってる。だから他のものに手ぇ出す余裕なんかねぇよ。おめぇも知ってるだろ?」

「「・・・・・・・・。」」
私もキットンも、トラップの言葉に感動していた。
「・・・すごいっ!トラップかっこいいよ!私感動しちゃった!」
「私もです。トラップの言葉なんかに、鳥肌が立ってしまいました。」
「トラップの言葉なんかにってどう言う事だよ!?」
次はキットンがボカッと殴られる番だった。でもあれ、きっと照れ隠しだよね。ふふ。

でもね、私は本当に感動した反面、自分のことが凄く恥ずかしくなって、下を向いてしまった・・・。
なんとなく、トラップに合わせる顔が無い気がして。
だって自分の仕事もちゃんと出来て無いのに、あれやりたい、これやりたいとか思ってたわけでしょ?私は。
トラップみたいな真剣さが私には、全然足りてない証拠だ。
詩人もマッパーもクロスボウだって、もっと努力するべき所が沢山あるのに目移りばかりしてるなんて、とても今の仕事を一生懸命頑張ってます!なんて口が裂けてもトラップには言えないよね・・・・。
まずは自分のするべき事をきちんとしてからだ。ってトラップに言われた気がする。

やっぱり凄いなトラップは。
私もいつかトラップの様に「私の職業は詩人兼マッパーです!」って言えるようになりたいと思った。
うん。今から頑張っても遅くないよね。最近、マッピングの勉強もおろそかだったし、またトラップに付き合ってもらおう。文句は言われるかもしれないけどね。
そう心に決めて顔を上げると、トラップと目が合った。
一瞬、驚いた顔をしたトラップだけど、次の瞬間には、ニッ。と笑っていた。
なんだろ・・・。私の思考が完全に読まれてる気がするんですけど・・・?
なんかくやしいなぁ。あの笑顔、「お前、単純だな。」って言われてる気がする。
くそー。どうせ単純ですよーだ!
いーだ!私がそんな顔をしていると、
「ぶっ。お前魔法使いになりたいのかよ。」
と笑われた。
きぃ      !くーやーしーいー!
顔を真っ赤にさせて
「いいじゃん、別に夢見るくらい!トラップも魔法使えたらいいな、とか思うでしょ?」
必死に反論すると、
「俺、魔力あるから興味ねぇし。」

     ン。そうだった、魔力あるんだよねトラップには。
この間もマジックアイテム使ってたしいいなぁ。
くそう、羨ましいぞ!
「じゃあ、もし職業が『盗賊兼マッパー探し』だったらどうします?それでも盗賊のみだって言い切れますか?」
今まで静かだったキットンの質問に、私もトラップも思考が止まる。
ナンデスカ、ソノ職業ハ・・・。
はっと我に帰る。
「ちょっとキットン。何のなのよその職業は!?っていうか、職業じゃないでしょそれ!」
「そうでしょうか?パステル、あなたはいつも誰に助けて貰っているのですか?しかも1度や2度じゃありませんよ。これはもう、立派にトラップの仕事です。違いますか?」
ぐっ・・・!!反論できない。キットンの言ってる事は正しい。正しい・・・けど!
「ちょっと、トラップも黙ってないで何か言ってよ!そんな職業いやでしょう?」
トラップの体をゆっさゆっさ揺らすと、いきなり
「ぶっ!ぶわっはははは!!なるほどなー。キットンの言う通りだ。いいぜ俺の職業、盗賊兼マッパー探しで。」
なんて言い出すではないか!
「やだやだやだ!私かっこ悪すぎるじゃん!!」
私どれだけ迷子になってるのよ。・・・いや実際そうなんだけど、でもいやだ!
トラップもトラップだ。盗賊の仕事に誇りを持ってやってる!他には手を出さない。なんてかっこいい事言ったばかりなんだから、頑張って貫き通してよね!
しかもこの世界のどこに、好きで『マッパー探し』なんて仕事をするやつがいるのよー!?

「ではパステル、雑誌掲載時には盗賊兼マッパー探しでお願いしますよ。」
「そうだな、クレイが不幸レベル31なら、俺もそのくらいのフィクションは許してやるぜ?」
キットンもトラップもニヤニヤしながらこっちを見てる。
もうっ!せっかくトラップの事、見直したのに、前言撤回!
「あ。そうそう、大事な事を忘れるところでした。パステル、あなたの職業欄には必ず、詩人兼マッパー兼迷子と記載してくださいね。じゃないと、トラップが職にあぶれてしまいますから。」
キットンが、いかにも重大事項のように落ち着き払って言った。
トラップもウンウン、うなずいている。私はやけくそで叫んでやった。

「私の迷子は仕事じゃないもん!特技だもん!!」

このあと二人には散々バカにされたけど、なんでだろう。
トラップの職業『盗賊兼マッパー探し』が、妙に当てはまると言うか、しっくりくる気がするのは、私の気のせいなのかなぁ・・・?



おしまい。


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