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ゆうゆうかんかん 悠悠閑閑

悠悠閑閑へようこそ! 当ブログはフォーチュンクエストトラパス中心サイトです。 二次小説や日記などがメインの ブログ名のまま、のんびり運営です。 よろしければどうぞ!

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《トラップの厄日 後編》


トントン。
ノックはしてみたけど、案の定返事は無かった。
「トラップー?入るよー。」
必要ないだろうけど、一応断ってクレイとトラップの部屋に入ると、ベットの上には大きなイモ虫が一匹・・・。
「トラップ!朝よ!起きなさーい!!」
イモ虫をゆさゆさ揺らしながら、トラップのお母さんの真似をしてみたけど、まったく起きる気配ゼロ。
仕方ない。トラップは怒るけど、この起こし方が一番手っ取り早いんだよね。

すう。と息を吸い込んでイモ虫の耳元で、思いっきり叫んだ。
「あ       っ!!こんなところに、宝箱がっ!!」
「なにぃ       っ!!」
ガバッと飛び起きて、あたりを見渡したトラップと、ばちっと目が合う。
とたんに輝いていた瞳は半目になり、怒りの色が浮かんでいた。

「おはよ。トラップ、朝だよ。」
出来る限り笑顔を作ってみるけど、そんなものに騙されるトラップじゃない。
「おーまーえーなー!」
いまや、完全に目がすわっている。
うわわっ。やっぱり怒っちゃた。
でも、すぐに起きないトラップが悪いんだからね!
「ほらぁ、朝だよ?今日はエベリンに行くんだから、早く朝ごはん、食べちゃってよね。」
「うっせー!俺はまだ寝みーんだよっ!しかも、その起こし方やめろって言ったよな!?人の弱みに付け込みやがって、ひきょうだぞ!くそっ。絶対起きちまうだよ・・・。」
ぶつぶつ文句を言いながら、悔しがってるトラップを見ていたら、さっきのノルの言葉を思い出した。

『トラップを起こすのは、パステルが一番上手だ。』

あれ?あの言葉はノルのお世辞だと思ってたんだけど・・・違うの?
いやいや、トラップを起こすのがいくら上手でも、なんの自慢にもならないんだけど、なんとなく嬉しかった。
「ねぇ。私って天才かも!ふふっ。トラップのお嫁さんに教えてあげなきゃ!」
「うおっ!?」
ベットからおりかけていたトラップが、いきなり後ろにひっくり返った。
「えっ!?大丈夫?トラップ?」
ベットに転がったトラップを助け起こすと、穴が開きそうなほど私を凝視したまま言った。
「・・・おめぇ、何の話してんだ?何?俺の・・・よめぇ?」

ああ、そうだよね。トラップにしたら何の話かと思うよね。
私はトラップが寝ている間の事を説明した。
・・・もちろん、はげ・・・の話は内緒だ。だって絶対っ怒るもん。
「ふーん。そういう事。」
それだけ言うと、ぷいっとあっちを向いてしまった。そんなに怒ることかなぁ?
まあ、勝手にあれこれ言っちゃったのは悪かったかも。はげの罪悪感もあって、私は早めに謝ってみた。
・・・んだけど、ちらっと一瞥しただけで、何も言わない。
フォローしようにも、どんどんドツボにはまりそうで、いい言葉も思いつかないし、どうしようか考えていると、ムスッとした声がした。

「・・・じゃあ、おめぇが一生起こせばいいんじゃね?おめぇ、俺を起こすの、上手いんだろ?」
「でえぇえぇ!?私が?一生?トラップを起こすの?なんでぇ???」
わ、私、はげたくないよぉ!
「しかもトラップのお嫁さんって事はブーツ盗賊団のおかみさんになるって事なんだよ?そんじょそこらの人には無理だと思うだけど?」
私の言い分を黙って聞いてたトラップは、
「そんじょそこらの奴には務まらねぇって、じゃあ誰だったらいいんだよ?」
あごをくいっと、上げた。続けろって事だろう。
「うーん。誰?って言われてもねー。トラップのお母さんみたいな、あんなパワフルな人みたことないもん。私、トラップのお母さんの事、本当にすごいと思うんだよね。心から尊敬してるもん。」
マリーナの話を、リールから詳しく聞いたときも、本当に素敵なお母さんだなって思った。
「だってね、あの大家族の炊事洗濯掃除や、小さい子供や動物達の世話もしてるでしょう?あと財務管理とかも大変だと思うんだ。」
ベラベラと一気に話す私の話を、ニヤニヤしながら聞いてた(怒って無いじゃん!)トラップは
「ふーん。おめぇはあのクソババァの事、そんな風に思ってたんだ?」
ク、クソババァ!?
「ま、たしかにパステルの言う通りだと俺も思うぜ?そんじょそこらの女には、まず無理だな。つーかありえねぇけど。」
きっぱり断言したトラップを見て、ちょっと驚いた。
でも考えてみれば当然なのかも。
超現実主義者な彼のことだ、自分の将来の事もちゃんと考えてるよね。

「トラップ、応援してるから、いい人見つけるんだよ!」
「はあぁっ?おめえに応援なんか絶対頼まねぇよ。大きなお世話。」
ちょっと!人の温かいエールを、秒殺踏みにじらないでよー。確かに役に立てる事なんか、無いかもしれないけどさ。
「ひどーい!」
ほっぺたを膨らまして文句を言うと、びしっと指を指された。

「つーか、おまえ、自分で自分が俺の嫁にぴったりだって言ってるの、解ってんのか?」
「はあ?」
なに寝ぼけた事言ってんの。この人は。
「誰も私が条件満たしてるなんて言って無いじゃん。」
「まぁまぁ。落ち着けって。取り合えず思い出してみそ?お前が言う、理想の条件を。」
「条件?えーだから、大人数の炊事洗濯掃除と子供や動物たちの世話が出来て、あとは財務管理だっけ?」
「だな。」
合ってる、とうなずくと
「じゃあ、質問。」
「質問?」
「そ。好きか嫌いか、でいいからな。」
なんじゃその質問・・・とか思ったけど、考える前に矢継ぎ早に質問されていく。
「料理は?」
「え?えーと、好きだよ。」
「ん。じゃあ洗濯」
「好きかな?」
「はい、掃除。」
「好き。」
「子供や動物の世話。」
「好きだよ。」
「じゃあ最後。財務管理は、ま、聞くまでもねーよな。」
「えぇ?たしかにパーティのお財布係として、任せられてるけど好きってわけじゃないよ?」
「でも出来てるじゃん。俺にはできねぇ。な?俺の言ったとおりだろ?しかも、起こすのも上手いときたら、お前条件満たした上で自分を嫁にしろって言ったも同然だろ。」

一気に体中の血液が上がってくる。
      っ!!私、も、もしかして・・・コレって!
顔を真っ赤にさせて、口をパクパクしてる私にトラップはニヤリと、
「俺、プロポーズされ・・・もが」
「うわぁああわぁあぁあ!!!!!」
恥ずかしさのあまり、両手でトラップの口を塞ぐ。
「ちょっちょっと待って!そ、それ以上言わないでっ!!!」
頭の中がグルグルして、目もグルグルしてきた。心臓はずっとパクパクしっぱなし。
グルグル、バクバク、パクパクしてる私の手を、自分の口からはずして、私にこう言った。
「俺の事嫌いか?」

c4afe9c8.jpeg







 













絵:んこれな様

あまりにもまっすぐな瞳に脈がはねる。そんなの・・・決まってる。
「嫌いじゃない・・・よ?」
トラップの顔が近づいてくる。
うわわわっ。なに?なんなの?
「それって、俺の事・・・す・・・」

「ばっ・・・!!!ノル!押すなっ!!」
「うわぁあああ!!!」

ばったぁ    ん!!

びっくりして振り返ると、そこには見慣れた顔の人垣が出来ていた。
「んなっ!?な、なにしてんのみんな!?」
でへへと笑いながらキットンが嬉しそうに、
「いやぁ、あんまりパステルが遅いもんですから、様子を見に来ただけですよ?」
と、悪びれることなく言った。
「全員で!?」
「ぐふふふ。それが、楽しそうな会話でしたから、声をかけるのが忍びなくてですね、つい。」
つい・・・。
もう、開いた口は塞がらない。開きっぱなしだ。
「き、聞いてたの       !?」
「はい。おめでとうございます。」

どっかぁ            ん!!
私・・・きっと壊れたんだと思う。だって全身真っ赤で瞳は涙目だし、口はずっとパクパク・・・心臓もずっとうるさい。
「パステル。」
どきんっ!
首をギギギギギギ・・・と、軋ませて振り返る。
「返事は?俺の事、好きか?」
両目から涙が溢れてきて、私の感情と共に流れ落ちていった。

「だ・・・だっ・・・だい・・・」
「「「「「「だい?」」」」」」

「っ!!!!!大嫌いに決まってるでしょ          っ!!??」

脱兎の如くとはこの事だ。気が付いたら庭にいた。
溢れ出てくる涙を必死にぬぐっても、止まらない。
もう!この涙はトラップのせいだ!バカバカバカ、バカトラップ!!
大きく息を吸い込んで、思いっきり空に叫ぶ。

「絶対、大っ嫌いっ!!」



おしまい。


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