ゆうゆうかんかん 悠悠閑閑
悠悠閑閑へようこそ! 当ブログはフォーチュンクエストトラパス中心サイトです。 二次小説や日記などがメインの ブログ名のまま、のんびり運営です。 よろしければどうぞ!
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
長編SS 第四話です。
《第四話》
「ほほう!大変興味深いです!精霊にも個性と言うものが存在するのですね!?」
もうノリノリのキットンは、フリッシュをスケッチしたり大忙しだ。
そんなキットンの質問にもシュリさんは、ニコニコしながら答えてくれた。
「はい。風の精霊は他の精霊たちよりも悪戯好きで、とっても気分屋です。
そんな中でもフリッシュはおしゃべりが大好きで、人懐っこく、よくクルクル回りながら笑います。
興奮し過ぎると、さっきみたいに突風をおこしてしまう癖があるんですけどね」
「なるほど!なるほど!では、容姿はどうなのですか?風の精霊はみんなフリッシュと同じ格好をしているのでしょうか!!?」
「いえ。姿形は風の精霊同士、似ていますが少しずつ外見にも個性があり・・・」
「おまえらっ!いい加減にしろよっ!」
みんなキットンとシュリの会話に聞き入っていたから、突然割って入ってきた声に驚いた。
「精霊講義なんか後ですりゃーいいだろ!?んな事より。さっきあんた、きちんと説明するっつったよな!?
ありゃ嘘かっ!?ルーミィにとっても悪い話じゃねぇって言うんならさっさと聞かせろっ!!」
例のごとく、痺れを切らしたトラップが一気にまくしたてた。
あちゃー。
やっちゃったよ、この人。
まあね。
初めて見た精霊に興味はあるけど、それよりもやっぱりルーミィの事を早く知りたい思いは私もトラップとそう変わらない。
それにしても言い方ってものがあるでしょーが。
でも、トラップに詰め寄られたシュリさんは・・・・キョトンとしてあまり気にしてないみたい?
「こらっ!トラップ!」
クレイが慌てて止めに入り、
「すみません!シュリさん。コイツ、失礼な口を聞ききますが悪い奴ではないんです」
謝りながら、トラップをフォローした。
そんな間もシュリさんはニコニコしたままで・・・やっぱり怒ってないのかなぁ。
神経が図太いのか、大人なのか。
物怖じしないところはちょっと、アンジェリカ王女に似てるかも。
私だったら、初対面の相手にこんな風に言われたら、「なんて失礼な人なの!?」って怒っちゃうけどね。
「いえいえ。彼の言うとおりです。大切な話の前に脱線してしまってはダメですよね」
そう言うと彼はフリッシュに「戻っていいよ」と声をかけた。
するとフリッシュは現れた時と同じように、くるりと私たちの周りを回って、そのまま空気に溶けた。
ほへー!
不思議だなぁ。
さっきまで目の前にいたのに文字通り、消えちゃった。
フリッシュが消えた辺りを目を凝らしてみるけど、あの薄緑の身体はどこにも無かった。
「では。ルーミィ姫について、私の知っている限りのお話をさせて頂きます。
少し長くなりますがお許しください」
シュリさんの言葉にみんなが固唾を呑むのがわかる。
一体、ルーミィが何者でお父さんやお母さんはどこにいるのか・・・その全てが遂にわかるのだろうか。
************
私は先ほども説明した通り、冒険者で職業は風の精霊使いです。
しかし、あなた達のようなパーティを組んではいません。
私は元来風の魔力がとても強く、どんな精霊でも呼び出す事が出来ます。
私の特殊な魔力に気付かれた風の神殿の主人から頼まれ、いつもは風の精霊の教育係りをしています。
あはははは。
精霊の教育係と言っても、ピンとこないですよね。
でもこの説明は長くなってしまうので、またの機会に。
ちなみに風の神殿と言うのはこの、パントリア大陸をさらに東に行ったアザリア山脈の一年中、良い風が吹く場所に建てられています。
そこに風の神殿の主人がいらっしゃいます。
主人は風を使い、世界中のあらゆる物を見たり聞いたりして、異変が無いか気を配っておられるのです。
しかし、ある日異変は起きてしまいました。
あれは・・・・数年前の事。
いつもは飄々とされている主人が、血相を変えて現れこう仰いました。
「・・・・ファアルウ族が忽然と姿を消した。世界中、どこに風を飛ばしても見つからない。何か知らないか」
と。
ファアルウ族と言えば風の精霊たちとも仲良しで、エルフ族の中でも、ずば抜けて風魔法に優れた種族なのです。
風属性の魔法を得意とするファアルウ族は、我々風の世界では有名な存在です。
私も残念ながら会った事はないですが、名前だけは存じていましたし。
そのファアルウ族が忽然と消えた事に、主人はとても驚いていました。
主人はファアルウ族の足取りを調べ続けましたが、何も情報は得られず・・・・・。
精霊界でも、ファアルウ族の突然の失踪は謎のままでした。
精霊たちも驚き、とても悲しんでいましたが、彼らは人間界で自由に動けぬ身。
その為、強い魔力で自由に精霊を呼び出せるこの私に、主人は精霊を連れてファアルウ族を探す旅にでるよう仰ったのです。
早速、旅に出た私ですが・・・・・・・
本当に不自然なほど、何の手がかりも得られない日々が続きました。
仕舞いに私は変な錯覚まで思い描く様になりました。
『ファアルウ族など最初から存在しなかった』
そんな事を考えるくらい、本当に忽然とこの世界から消え去っていたのです。
もちろん。
私はエルフの里にも行ってみたましたが、森火事の影響なのか里すら発見できませんでした。
目くらましにでもあっているかのように。
そして、足取りも消息も掴めないまま数年が経ってしましました。
その間に、世界各地で不穏な風が吹くようになり始めたのです。
みなさまもご存知かも知れませんが、古のモンスターが復活したり、時空の歪みが生じたりと。
明らかに何か良からぬ者の仕業の様ですが、主人にも今ひとつ実態が掴めない。
そして・・・・・
もしかしたらファアルウ族はもう・・・・・
この世界に存在しないのだろうかと思い始めた矢先、主人がある『風』を見つけたのです。
あなた方から見れば、いつも何気なく吹いている風ですが、実はどの風にも意味があります。
春を運ぶ風であったり、神々を運ぶ風であったり。
その中に、僅かに『声』を乗せた不思議な風があったのです。
『声』を乗せた風は私たちもよく、伝達に使ったりしますが基本、相手に対して真っ直ぐに飛ばすので寄り道をしません。
しかし、その不思議な風は何かを探すように、くるり、くるりと回りながら飛んでいくのです。
不思議に思った主人がその風を拾い上げると、なんとその風にはあの、ファアルウ族の『声』が乗っていたのです。
『声』はこう言っていました。
― 愛しい愛娘ルーミィ 必ずまた会える だから 元気でいてね 大好きよ ―
発信源は分りませんでしたが、この風がファアルウ族のルーミィ姫を探していることは分ったのです。
そこで、主人から精霊を連れて世界中を旅している私に依頼がありました。
精霊たちには、ファアルウ族が一目でわかります。
その精霊たちの力を借りて、ファアルウ族のルーミィ姫を見つけて欲しい。と。
見つけて、風の神殿に連れてきて欲しいと。
残念ながら・・・・主人の力では、ファアルウ族の居場所はわかりませんでした。
しかし。
ルーミィ姫がいらっしゃれば、何かわかるかもしれないのです。
どうか、私と一緒に風の神殿まで来て頂けませんか?
***********
「は、はあ・・・」
シュリさんの長い説明を私は半分も理解出来た気がしないのだけど。
周りを見てもみんな黙りこんでしまっている。
暫くの沈黙の後、まず最初に口を開いたのは意外な事にノルだった。
>第五話