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ゆうゆうかんかん 悠悠閑閑

悠悠閑閑へようこそ! 当ブログはフォーチュンクエストトラパス中心サイトです。 二次小説や日記などがメインの ブログ名のまま、のんびり運営です。 よろしければどうぞ!

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長編SS 第三話です。
 

*注意*
    二次小説です。
    トラパス好きな管理人が書いてます。
    

 

《第三話》




乗り合い馬車の停留所で出会った、シュリという男性。
うーん。
端正な顔立ちなんだと思う。
プラチナの長い髪を一つに束ね、綺麗な装飾品を付けていた。
まあ・・・・・
さっきの暴風の中心に居たんじゃ、すべて台無しだけどね。


シュリさんを連れて家に帰ると、パーティ全員が揃っていた。
こんな昼間に揃うなんて本当、めずらしい。
いつも誰かがバイトで出かけている事が多いもんね。
そして、ルーミィの手を引いて現れた見知らぬ男性を、他のメンバーは不思議そうな顔で出迎えてくれた。
「あのねー!しゅりっていうんらー!」
さっきからすっごく、ご機嫌なルーミィ。
シュリさんの事がよっぽど気に入ったのか、手をつないだり抱っこしてもらったり、とにかく彼にべったりなのだ。
そして、ルーミィの親切丁寧?な説明にシュリさんが頭を下げた。
「はじめまして。私はシュリシュリシュリルライラーン=ローランシューイと申します。長いのでシュリと呼んでくださって結構です」
そう言ってさっきと同じ、緊張感のない笑顔をみせた。

 

「え、えーと、シュリ・・・さん?」
クレイの戸惑った声がリビングに響く。
微妙な緊張感が充満するこの部屋に、パーティ全員とシュリさんが座っている。
うーむ。
かなりの大人数だ。
しかも、緊張感も合わせてちょっと息苦しい。
さすがに全員はソファーには座りきれなくて、私の隣でトラップとシロちゃんはソファーの肘置きに腰掛けている。
一人掛けのソファーにシュリさん。
3人掛けに私とキットンとクレイの順番で。
ノルは自分用のイスを持ってきた。
もちろん彼のお手製で、ノルが座ってもびくともしない、とっても頑丈なイスなのだ。
そして私の膝の上にはルーミィが。
相変わらずニコニコと笑顔のシュリさん。
「はい。名前があまりにも長いので僕自身も面倒臭いんです。えーと、まずは自己紹介をさせて頂いても?」
 

彼の名前は、シュリシュリシュリルライラーン=ローランシューイさん。
な、長いよね。
覚えられる自信がないくらい・・・・・本当に長い。
しかも何故だか『シュリ』が3回も出てくるし。
・・・・・不思議な名前。
そりゃあ、本人も『シュリって呼んでくれ』って言うのも頷ける。
シュリさんは私たちと同じ冒険者で25歳。
パーティは組まずに一人なんだと教えてくれた。
職業は精霊使い。
私は精霊使いと聞いて、いつぞやの沼の精霊使いの女の子が頭を過ぎった。
名前まではさすがに思い出せないけど・・・。
あの子は元気かな?
「ほほう!では何の精霊を?」
隣に座っているキットンがシュリさんの職業を聞いて興味が沸いたらしく、メモを片手に乗り出した。
うん!うん!
私も断然興味がある!!!
クレイやノルも興味津々と言った表情だ。
トラップは相変わらず黙ったまま、シュリさんから視線を離すことは無かった。
そんな私たちにシュリさんは笑って、ソファーから立ち上がった。
んん?
何が始まるの?


「では、実際にお見せしたほうが早いでしょう。そして、さっきの事も本人から謝ってもらいましょうか」
そう言うと静かに瞳を閉じ、胸の前で両手を合わせて拝むようなポーズ。
あ。
も、もしかして・・・!
彼が今から見せてくれるのは・・・・・精霊!?
本当に!?
『さっきの事も』ってことは・・・もしかして!?
その精霊って!!?
シュリさんが合わせた両手の辺りから、暖かな風が吹いてくる。
フンワリ優しく私の髪を撫でて遊んでいく。
「あ・・・・!」
シュリさんの目の前に、キットンよりも背の低い人物が現れた。


ううん。


人じゃない・・・。


全身の肌の色は透き通るような綺麗な薄緑。
髪の毛はふんわりとウエーブのかかった、やはり綺麗な薄緑色。
すらりと長い両手足の先に指は3本しかなかった。
これが・・・・精霊なの?
生まれて初めて見る精霊に、私は釘付けになった。
いや。
私だけじゃない。
キットンもクレイもノルも、シュリさんを睨み続けていたトラップですら。
口をだらしなくポカーンと開けて、ただただ、食い入るように見続けた。
変わらないのはルーミィとシロちゃんだけだった。
ルーミィに至っては、
「かぜさん、るーみぃといっしょにあそぶんかぁ?」
と遊びに誘っていた。


あ・・・・・!
そっか!
ルーミィの言っていた『かぜさん』って、シュリさんの事じゃなくって、この精霊だったのね!?
遊びに誘われた精霊は嬉しそうに、ケラケラと笑いながら私たちの周りをくるーりと一周した。
ほへー!
精霊も笑うのね!
みんなが感動していると、
「こら。フリッシュ!謝るのが先だろう」
シュリさんの厳しい声が飛んできて、精霊は一気にショボーンとなってしまった。
そして、少し拗ねた表情でシュリさんの隣に浮いた。
なんだろう!
この精霊ってまだ子供なのかなぁ?
ふふふ。
クルクルとよく変わる表情がまるで、ルーミィみたい!


「では。改めて紹介します。この精霊は風の精霊、名前をフリッシュと言います。
先ほどの突風はファアルゥ族の姫君に突然お会いできて、嬉しさのあまり興奮して、フリッシュがおこしたものです。
ほら。フリッシュ、きちんと謝って!」
シュリさんに背中をポン!と押され、風の精霊フリッシュは、綺麗な薄緑色の頭を下げた。
「・・・ごめんなさい」
ふわりと春の柔らかい風が吹いた様な声だった。
もしも、風の音が聴こえたなら、この精霊の声なのだろう。



第四話
 

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