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ゆうゆうかんかん 悠悠閑閑

悠悠閑閑へようこそ! 当ブログはフォーチュンクエストトラパス中心サイトです。 二次小説や日記などがメインの ブログ名のまま、のんびり運営です。 よろしければどうぞ!

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長編SS第二話です。

いまさらの注意:オリジナルキャラクターが出てきます。
          ルーミィ(ファアルゥ族)ネタのお話です。
          管理人トラパス好きです。

捏造だらけのSSですがよろしければどうぞ☆




《第二話》


「あほかっ!!しっかり踏ん張ってろっ!!」
轟音の中、聞き慣れた怒声が耳に届く。
僅かに開いた視界の端に、赤毛が映った。



「トラップ!!」
いつの間にか、しっかりと私の腰に回されたトラップの腕。
「くっ・・・そ!」
歯を食い縛り、私の身体は力任せに彼の方へと手繰り寄せられた。
そしてそのまま私たちを抱え込むように、地面にへばり付く格好で覆い被さってくれたのだ。
爆風に飛ばされかけた私たちを危機一髪、トラップが助けてくれた。
「あ、ありがとう。トラップ」
吹き荒れる爆風から守ってくれながら、しっかりと悪態を付くトラップの声。
「ったく!何なんだよっ!?この風は!」
そんな事聞かれても、こっちが聞きたいわよ。
そう文句を言おうとして口を開けると
「かぜさん、きっとびっくりしてるんだぉ・・・」
ルーミィのその一言で再び、さっきの男性を思い出す。
何?何?
まさか、この爆裂激風はあの男性の仕業なの!?
本当に!?




粉塵の向こうに微かに見える人影。
取りあえず彼は無事のようだけど・・・
目を凝らしてよく見ようとした瞬間、
凛と透き通る声が聞こえた。
まるで・・・何かの呪文のような。
「・・・・・・・こに・・・・・・・静ま・・。我が名・・・、シュリシュリ・・・・」
途端、風の勢いが一気に弱まっていく。
呆然とその状況を見守っている私たちの前で、爆風は最後に細く、ひと渦を巻いてそれっきり。
風はぱたりと止んだのだ。




な・・・
なんだったのー!?
もう、体中砂まみれ!!
口の中もジャリジャリして、ううぅ・・・最悪。
見ると上になって、ずっと私たちを守ってくれていたトラップの表情もウンザリしていた。
あーあ。
髪を縛っていたリボンはどこかに飛んで行ってしまったみたい。
私の蜂蜜色の髪もトラップの綺麗な赤毛も見るも無残だ。
つまりボッロボロ。
「おらおら!いつまで地面に這いつくばってるつもりだよ!?そんなに地面が好きなら止めねぇけどぉー?」
立ち上がって早くも一人、服に付いた砂を払いながらニヤニヤと見下す、我がパーティの仲間。
で、もしかしたら命の恩人かもしれないヤツ。
ったくぅ。
人が折角感謝の気持ちを伝えようと思っていたのにコイツは!
「・・・んなわけ無いでしょっ!?」
そう言いつつ身体を起こす。
それから腕の中のルーミィとシロちゃんをそっと解放してあげた。
ずっと抱き締められて苦しかったに違いない。
「二人とも大丈夫?」
シロちゃんが小さく「大丈夫デシ」と笑った前を、返事も無く真剣な面持ちで歩いていった人物がいた。



ルーミィだ。
「ルーミィ・・・?」
『かぜさん』をまっすぐ見つめながら歩いていく。
その様子を隣で見ていたトラップが
(どうしたんだ?あの男は誰なんだよ?)
と、視線で私に質問してきたけど・・・
生憎、私は彼の満足する答えを持ち合わせてはいない。
ただ、
(わからない)
そう頭を振るだけだった。
男性は目の前まで歩いて来たルーミィに、わざわざ目線を合わせる為にかがんでくれた。
今から何が起こるのかとハラハラしながら、私達はその後ろで見守る。
「らめでしょ!かぜさん!!みんなこまっちゃうでしょ!?」



ガクガクガク・・・・・・
予想外のルーミィの態度に、私もトラップも思わず崩れ去る。
ええっ              !?
説教!?
大の大人に向かって説教しちゃったよ!!この子!
「ル、ルーミィー!!」
慌てて二人に駆け寄る。
「す、すみません!この子悪気はな・・・・」
すると突然男性は、恭しく膝を地面に付き腰を折り、頭を下げたのだ!!
この、ぽっよぽよお腹を突き出したルーミィに!!!
挙句の果てに、こう言い放った。

「ファアルウ族の幼き姫よ。
この度のご無礼お許しくださいませ。この風の者はまだ未熟故、修業の身でございます。
突然ファアルウ族の姫君にお目にかかる事になった為、気が動転しこの様な事になってしまいました。
誠に申し訳ございません」

「もしも、ぱぁーるぅたちがけがしてたらどーすうの!?かぜさん。めっ!だからね!」

「はい。本当に申し訳ございません。姫、お怪我はございませんか?」



・・・・はい?
なんですと!?
ルーミィがファアルウ族だと言うことは、以前にグリーンドラゴンのジェームラウから聞いていたから知っているけど。
姫!?
ルーミィがっ!?
まさかっ!?
あまりの衝撃に口をパクパクさせながらトラップを振り返る。
振り返って私は驚いた。
トラップが険しい表情のまま、黙って男性を見つめていたから。

(トラップ・・・?)

私の不安そうな視線に気が付いたのだろう。
トラップと一瞬、目は合ったけど彼は何も言わなかった。
そして、黙ったままそっとシロちゃんを抱き上げると、いつもの様に肩に乗せ前へ進み出た。
「あんた何者だ?さっきの迷惑爆風はあんたのせいか?」
トラップから伝わるのは明らかな怒気。
返事次第では・・・・・と言った、重い雰囲気すら感じるほど。
確かに不思議な男性。
ひと目見ただけで、ルーミィがファアルウ族だと見抜き、しかも姫だと言う。
うん、怪しさ満点。

ま、まさか・・・!

闇の行商人!?
心音が急に早くなる。
ルーミィをまた連れ去ろうとやって来たのだとしたら!?
そんな事は許さないし、絶対にさせない!
今更ながら、私もキッと睨みを利かす。



そんな私たちの様子を不思議そうに見ていた男性。
立ち上がり警戒心剥き出しの私たちに向けたのは、なんとも緊張感の無い笑顔だった。
なんと言うか、悪い人ではなさそうな・・・・・・そんな気にさせてくれる。
「あはははは!そんなに警戒しないでください。
・・・と言っても無理なのでしょうが。
取り合えず私の話を聞いてはもらえませんか?
きちんと説明もします。彼女に取っても悪い話では無いと思いますよ?」
にこにこと毒気を抜かれる笑顔の男性は、『シュリと呼んでください。』
と言った。
「・・・・・・はっ!良いか悪いかはこっちが判断することだ!」
人一倍警戒心の強いトラップ。
そんな彼はシュリさんの笑顔にも表情一つ変えず、隙を見せる事無く言い放った。
そう。
つい最近、ロミリアでルーミィ誘拐事件があったばかりなのだ。
だから余計に私たちは彼に不信感を募らせる。
すると、
「とりゃー!るーみぃ、かぜさんとお話したいだぁ。いいかぁ?」
敵意剥き出しのトラップのズボンを引っ張りながら、ルーミィは綺麗なブルーアイを向けた。
「ルーミィ・・・おめぇ・・・」
そう言ったきり、しばらく黙っていたトラップはルーミィの真っ直ぐな視線に負けたのか、
大げさなため息を吐きながらガシガシと頭を掻いた。
「・・・ったく。しゃあねぇ。家に帰ればクレイ達がいるはずだ。一先ず帰んぞ。ただし・・・」
「わぁーい!しゅり!かぜさん!るーみぃのおうちにあんないするおぅ!」
トラップの小言が終わる前に、シュリさんの手を引いてルーミィは走り出してしまった。
「おいっ!こらっ!チビ!俺の話を聞けっ!!」
慌てたトラップが二人の後から追いかける。
わ、わ!置いてかれる!
私も慌てて後を追った。 



「トラップ。彼・・・信用できると思う?」
トラップに追いつき、そっと耳打ちする。
そう聞いた私に彼は、目線を外す事無く、笑顔で走っていく二人を睨みつけている。
「・・・さあな。ただ・・・・
ルーミィの手掛かりを掴めるかもしれない機会を、俺だけの判断では無下にできねぇのが正直な所だ。
話の内容的にも誰かに聞かれる可能性のある猪鹿亭よりも、クレイやノル、キットンがいる俺たちの家がいいだろ。
・・・・・たとえ・・・・何が起こっても対応出来るように・・・・・・な」
「・・・・・・・・」
確かに。
彼を怪しいと思う反面、私達がルーミィのどんな手掛かりでも欲しいと思っているのも本当で。


嘘か本当か。


敵か味方か。


「今はただ・・・シロの瞳を信じるしかねぇ。それだけだ」
そのままルーミィ達から視線を離す事無く、厳しい表情で見つめるトラップと、その肩に乗ったままのシロちゃん。
その瞳、今は黒曜石の様に艶やかに、気高く光る聖なる黒。
そうだ、トラップの言うとおりかもしれない。
今はホワイトドラゴンの瞳しか信じられるものは何も無いのだ。
ううん。
違う。
彼の瞳が『黒』だからこそ、警戒心の人一倍強いトラップが黙って見守っているのだ。



再び穏やかな午後を刻む太陽は、私たちの頭上を少し傾いたところ。
平和な村に訪れた一人の男性。
彼が何者なのか。
そしてルーミィの『何』を知っているのか。
「ただ・・・あいつ、只者じゃねぇぞ」
そう舌打ち交じりに囁いた、トラップの声が私の耳に残る。


 
第三話

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