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ゆうゆうかんかん 悠悠閑閑

悠悠閑閑へようこそ! 当ブログはフォーチュンクエストトラパス中心サイトです。 二次小説や日記などがメインの ブログ名のまま、のんびり運営です。 よろしければどうぞ!

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☆パステルを祝う会  PART5☆


《約束のケーキを食べに行こう。》


キーンコーン

カーンコーン

ひとつの鐘を合図に、静まり返っていた廊下が一気に喧騒に包まれる。


「パステル。今日はクラブ行くの?」
鞄に教科書を詰めていると声を掛けられた。
「うん!行くよー。」
顔を上げると帰り支度のすっかり済んだリタの姿があった。
「バイトは?」
「バイトは今日は休み!へへへ!」
そう。
今日のバイトは、わざわざ休みを取ったんだよね。
だって今日は・・・。
「パステル・・・・なんか嬉しそうね?」
リタの言葉に思わずドキリとしてしまう。
「えっ!?そ、そう?」
へ、平常心よ!!
だって、誰にも言うなって言われてるもん!
「うーん。バイトが休みだから・・・・?違うわよね?」
うぅぅう・・・・・。
リタの視線が痛い・・・・。
「えへへー。な、何でもないよ?本当に!なんでも無いって!!」
やだなぁ!なんて誤魔化して笑ってみるけど・・・・。
「何?怪しいわね。パステル、本当に何も無いの?」
疑われてる。
思いっきり疑われてるよ!!
「ナイ!ナイ!本当に何の予定も無いもん!」
「・・・・・ふーん。そう。」
しばらく疑いの眼差しを向けてたリタだけど、私の不自然なまでの『ナイナイ』連呼に検索を止めてくれたようだ。

よ、良かったぁ。
リタやマリーナにばれたら五月蝿いから見つかるなよって注意されてるんだよね。
本当は隠し事なんかしたくないんだけど・・・・今回だけは許して欲しい。
ごめんね!リタ!!
「じゃあさ、パステル。クラブが終わったら一緒に帰ろう?付き合って欲しい所があるのよ。」
「えっ!?」
心の中で親友に謝罪をしていると、思わぬお誘いが。
いつもなら一言目にはOK返事なんだけど・・・。
「あ・・・・。ごめん!今日は寄りたいところがあるから・・・・。また今度でもいい?」
「なんだ。用事があるの?それって、どうしても今日じゃなきゃダメな事?」
「うん・・・。ごめん・・・・。」
あぁあぁー。
リタに嘘つかなきゃいけないなんて!
ううん。
用事があるのは本当なんだけど、その内容が言えないから・・・・結局は辻褄の合わない嘘を付く事になるわけで・・・・・。
「そっか・・・・。じゃあ仕方ないよね。」
良心が痛む。
「リタ、ごめんね?また今度ちゃんと付き合うからね。」
「ううん。いいのよ。実は今日、パステルの誕生日でしょう?だからパーティでもしようかなって思ってたのよ。」
「!!・・・・・リタ・・・・・。」

ちょっと残念。
そう呟いて悲しそうに笑ったリタの顔を見たら、これ以上嘘なんか付いていられなかった。
「リタ!私の為にありがとう!!・・・あのね本当はクラブが終わったらトラップとケーキを食べに行く約束なの。」
「!?トラップと?2人で!?」
トラップごめん!!
きっと、トラップには怒られるだろうけど・・・・こうなったら精一杯謝ろう。
「うん・・・・。実はね・・・・・」


そうなんだよね。
実は今日は私の誕生日2月5日で。
トラップと2人でケーキを食べに行く約束をしてたりする。
クリスマスのときの約束だからって・・・・。
私はリタ達も誘おうって言ったんだけど、トラップは黙ってろって言うんだよね。
何で?って聞いたら、『あいつら何かとうるせぇし、俺とお前の約束だろ?』と言われた。
そう言われればそうだし、わざわざ誘うのも悪いかなっと思って黙ってる事にしたんだけど・・・・。


私の説明をリタは黙って聞いてくれた。
「・・・・ごめんね。最初から隠したりしないでちゃんと説明すれば良かった。」
頭を下げて謝ると、
「そう言うことなら仕方ないわね。いいよ。許してあげる!」
「本当!?」
「うん!トラップのヤツの気持ちも解らなくもないからね!パステル、正直に話してくれてありがとね!」
「ううん!!リタ、本当にごめんね!誕生日パーティも・・・・ごめんね?」
もしかしたら前々から準備してくれてたのかもしれない・・・。
そう思うと申し訳なくって・・・・。
「あら!大丈夫よ!2人でケーキを食べに行くだけでしょう?終わってから私の店に来てくれたらいいんだから!」
「えっ!?終わってからでもいいの?」
「もちろんよ!パステルがバイトを入れてる事も考えてたからね!幸い明日は土曜日だし?パステルの誕生日、盛大に祝うわよー!」
「あ、ありがとうっ!リタ!!」
嬉しい!!
本当に嬉しい!!
ぎゅーっとリタに抱きついてもう一度お礼を言う。
「本当にありがとう!嬉しいよ!楽しみにしてるっ!!」
「うん!任せといて!腕によりを振るうわよ!」
ぽんぽんとリタに背中を叩かれて
「そうだ。ちゃんと、トラップも連れて来てよ?ふふふ・・・・。」
どこかイタズラそうなリタの声が聞こえてきた。
「?うん!わかった!ちゃんと連れてく!」
そうリタと約束して、私は弓道場へと向かった。



********



クラブの帰り道。
空は茜色に染まって綺麗な夕日が出ていた。

「パステルー。行くぞー。」

着替えが終わって部室から出ると、弓と矢筒を持ったトラップが待っていた。
「お待たせー!」
日曜日に弓道の試合があるからね。
もちろん私も弓と矢筒を持っている。
もちろん教科書の入った鞄も。
・・・・・トラップは持ってないけどね。
「トラップって家で勉強してないの?」
「そ。おめぇとは違って勉強しなくってもよゆーなの!」
「えぇー!?うっそだぁ!」
トラップってば授業中もよく寝てるもん。
いつ勉強してんだろう。
でもテストの成績とかは悪くないんだよね。
特に理数系は強い。


「・・・・店。どこにするか決めたのか?」
トラップが視線を反らしながら聞いてきた。
店。
ケーキ屋さんの事だろう。
「うん!前から行ってみたかった所なんだ!すっごく美味いんだって!」
ニコニコしながら雑誌の切抜きをトラップに見せる。
リタとマリーナも絶賛のお店だったから間違いない。
「・・・ふーん。これ、リタの店の近くじゃねぇ?」
「え?そうなの?」
思わず雑誌の地図を覗き込む。
リタはそんな事、一言も言ってなかったけど?
ま。いっか。
近いならその後の移動も楽だしね!
切抜きをたたんでポケットに入れると
「おめぇ。ホールのケーキ丸ごと食べそうな勢いだな。」
けっけっけっ。と意地悪な笑顔のトラップ。
「丸ごとなんて食べれないもん!でも食べたいケーキが4個くらいあるんだよね・・・・。」
真剣に悩んでる私を見て、
「ぶはっ!おめぇー太るぞ!?」

9ae2b060.jpg






















と、いつまでも笑っていた。
もう!本当に失礼なヤツ!

・・・・でも、あの日の約束をちゃんと忘れずに守ってくれてるんだから、本当は優しいんだよね。
トラップって。
これから先、本当に私が『もういいよ。』って言うまで彼は付き合ってくれるのだろうか。


そして、この事をリタが知ってると聞いても約束を果たしてくれるのか・・・・。
とりあえず、ケーキを食べ終わるまでは黙っておこうかな。
えへへへー。


END

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