ゆうゆうかんかん 悠悠閑閑
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《トラップよ大志を抱け!》
私は、ノイ・キットンと申します。
あ。ご存知でしたか。
いやぁー、私も有名になったものですねぇ!ぎゃはっはっはっは!
しかし今回は誠に残念ながら、私の話ではありません。
我がパーティの盗賊で、トラブルメーカーでもある彼の話なのです。
彼は同じパーティの詩人兼マッパーの彼女にベタ惚れなのですが、なかなか想いを伝える事が出来ずにいます。
そんな彼の一日を追ってみました。
彼はいつも、暇を見つけては彼女の元へと足繁く通っているのです。
少しでも構って欲しいのでしょうけど、彼女にしたら邪魔以外の何ものでもありません。
ほら、今日も・・・。
ノックも無しに入ってきたトラップにチラリと視線を送ったものの、パステルは視線をさっきから読んでいる『冒険時代』へと戻してしまいました。
「昼寝なら自分の部屋でしてよね。」
これは彼女の決まり文句です。
もちろん。
彼は本当に昼寝をする為だけにこの部屋を訪れている訳ではないのですが・・・。
鈍感な彼女には分かってもらえません。
「・・・昼寝じゃねぇよ。あのよー。」
「・・・・・んー?なあに?」
おやおや、パステルは顔も上げません。
きっと大した事じゃないと思っているのでしょうね。
「おめぇが一番だ!」
「へ・・・・?」
さすがのパステルも、彼からのいきなりの大胆告白に頭を上げました。
はしばみ色の大きな目をぱちくりしながら、トラップの言わんとしていることを必死に考えています。
すると突然。
ポッ。とパステルの両頬に赤みが・・・。
おや!珍しい事もあるものです。
彼の想いはちゃんと通じたみたいですよ。
頬を赤らめたまま、恥ずかしそうにでも嬉しそうな笑顔でパステルは
「・・・トラップから言って貰えるなんて思ってなかったから・・・すっごく嬉しいよ!!
ありがとう!私、これからも頑張って小説、書いていくから応援してね!」
ニコニコと本当に嬉しそうに笑うパステルの手にはさっきも言いました様に、『冒険時代』が。
違いますよ!パステル!!
小説のことじゃありません!
・・・・まぁ。物陰に隠れている私が叫んでも仕方ないのですが。
「ちげぇよ!だぁっー。もっと分かりやすくしてやるよ!」
ふむ。トラップは諦めないみたいですね。
当然でしょう。
なんせ、彼女にベタ惚れですからね!
今度はゆっくりとパステルの後ろに回り、彼女の体をぎゅっと抱きしめました。
「・・・・パステル。」
「ト、トラップ・・・?」
2人きりの部屋が一気に緊張感で包まれます。
いやー。トラップ!やりますね!
おっと。私が覗いている事はトラップには内密でお願いします。
私の個人的な趣味ですので。
パステルの顔が、さっきよりも一段と赤色に染まっていきます。
そんなパステルの体をさっきよりもぎゅっと強く抱きしめたまま、ついにトラップが口を開いて・・・
「パステル。あいし」
「ぱあぁるうぅ!!!たいへんらおうっ!!」
「て・・・・ルーミィ?」
「ルーミィ!!どうしたの!?」
・・・・バタバタと階段を降りていくパステルと、ポツンと置いてかれた一人のシーフ。
あーあ。
さっきまで彼女を抱きしめていた腕が、所在無く宙に浮かんでいます。
「くそぉー!!ルーミィのヤツ!いっつも邪魔しやがってっ!!」
いえ。ルーミィの邪魔はワザとじゃ無いと思うので、ルーミィは悪くないと思いますよ。
多分・・・・ね。
「なぁ!パステル。2人で出掛けねぇか?」
あの後も懲りずにパステルを追いかけて、ルーミィから引き剥がすと次はパステルをデートに誘っています。
きっと、誰にも邪魔されない所でゆっくり告白するつもりなのでしょうが・・・・・。
果たして、そんなに上手くいくのでしょうか?
「えっ?トラップと2人で?」
「おう!買い物でもしながらブラブラしようぜ。」
「わぁーい!!じゃあ荷物持ち、お願いね!」
「いや、そうじゃなくって・・・。」
「ありがと!トラップ。今日は重たい物を買うつもりだったからすっごく助かるよ!」
「や、だから・・・。」
「よし!じゃあ行こっか。トラップ!」
「・・・・・わぁーったよっ!」
これは完全に尻に敷かれていますね。
きっと、これから先もこの関係が崩れる事は無さそうですね。
惚れた弱みです。
トラップ、諦めてください。
おっと、2人が出掛けたみたいです。
では、気付かれないように私も後を追いたいと思います。
2人はブラブラとシルバーリーブの商店街を歩いているのですが、傍から見ればデートそのものです。
雰囲気もとてもいい感じです。
おや。パステルが足を止めて何かを見ています。
露店のアクセサリーショップで気になるものを見つけたみたいですね。
「あに見てんだよ。」
「あ、トラップ!見てこのネックレス。きれーい。」
パステルも一応、年頃の女の子ですからね。
こう言った物にも興味があるのでしょう。
それにしても、本当に2人が『デート中のカップル』にしか見えなくなってきました。
露店のお兄さんも同じだった様で、
「彼女、彼氏に買って貰ったら?すんごく似合ってるし。」
トラップを指差してパステルに笑顔で勧めています。
「ほら、彼氏も!彼女似合ってるよねー?可愛いじゃん!」
そんな店員のセールストークにパステルは
「あはははっ!全然違いますよー。彼氏なんかじゃないですから。むしろ、手のかかる弟って感じです!」
ケラケラと笑って答えています・・・・・。
ああー・・・パステル。
貴女の言っている事は正しい。
全くもって正しいのですが、そこまではっきりキッパリ言い切らなくても良いのでは無いでしょうか・・・。
彼の精神的ダメージは計り知れません。
露店の冷やかしも過ぎ、少し歩き疲れたのでしょうか猪鹿亭にお茶をしに入ったみたいです。
私も神経を使う尾行に少し疲れました。
リタに美味しいお茶の一杯でも出していただきましょう。
「いらっしゃいませー!あら、キットン!パステル達はあっちの席にいるわよ?」
「いえ。私はここの席で十分です。」
「なに?まさか・・・また尾行中なの?キットン、あなたも物好きねぇ。」
「ふふふ!今日のトラップはか・な・り・頑張ってますよ!トラパス応援団長代理としては見逃す訳にはいけません!」
「ふーん。何、それ。トラパス応援団?しかも代理?」
「はい。団長はゼンぱあさんなので、私が代理人として2人を見守っています。
専ら、トラップの恋愛を陰ながら応援しています。リタも如何ですか?」
「・・・・・遠慮しとくわ。私はパステルの応援ならするけどね。じゃあキットン、ゆっくりして行って。」
「ありがとうございます。」
残念です。リタの勧誘には失敗してしまいました。
おっと、大事な事を忘れる所でした。
あの2人は・・・・・リタに出されたお菓子をつまみながらお茶をしているみたいですね。
「あまーい!このお菓子。程よい甘さで疲れが取れるんだよねー。いつ食べても美味しいー!」
「好きだ。」
おお!
なんと話の流れを無視したいきなりの告白でしょうか。
しかし今回は全くひねりの無い、分かりやすい言葉です。
これはいくら鈍感なパステルでも伝わるでしょう!
「私も好きだよー。」
・・・・キタ!
来ました!
遂にトラップにも春が!!
「ほ、本当か?」
思わず聞き返すトラップの声も震えています。
ええ!ええ!
それはそうでしょう。
思えば長い道のりでしたから。
「うん!このお菓子、本当に美味しいもん!私大好きなんだー。」
・・・・・は?お菓子?
私とした事が・・・・・
大切な事を忘れていました。
彼女はただの鈍感ではありません。
『超ウルトラスーパーミラクル鈍感クイーン☆』だった事を。
一体どこまで彼を空回りさせれば気が済むのでしょうか。
彼の両目から血の涙が流れているのは気のせいではない気がします・・・。
「リタ、美味しかったよ。ごちそう様ー!ほらトラップ。残りの買い物して帰るよー。」
「う、ううん。パステル、また来てね。トラップも。」
亡霊のようにパステルの後ろに佇むトラップの耳元に
「今度、サービスしてあげるからさ・・・元気出しなよ?」
そう、励ますリタの声が聞こえてきました。
トラップはリタの気遣いに弱弱しい笑顔を残して店を後にしました。
「キットン・・・・トラップの奴、大丈夫なの?」
さすがのリタも心配なのでしょう。
「大丈夫ですよ。あれくらい、どうって事ありません。いつもの事ですから。」
「そう・・・そうなんだ。いつもの事・・・・。」
「トラパス応援団、入団されますか?」
「・・・・考えとくわ。」
「・・・・わかりました。では、私も失礼します。」
リタが入団するのも時間の問題ですね。
私が店の外に出ると、トラップが真剣な面持ちでパステルの手を握っていました。
めげません!
へこたれてません!!
そうですよ!
それでこそ、男の中の男です!!
超ウルトラスーパーミラクル鈍感クイーン☆相手に、へこたれてる暇などないのです!!
パステルの手をぎゅっと握り、
「パステル、そのう・・・何か感じねぇか。」
ほほう。
次の作戦はパステル自体に想いを自覚させる作戦のようですね。
「あ・・・・・・。その・・・・う。実は、トラップと手を繋ぐたびに想っていた事があるんだけど・・・・」
「な、なんだ?」
だからトラップ。
声がうわずってますよ。
「私・・・・・ね・・・」
お・・・や?
「お、おう!」
パステルの態度が今までと違いますよ?
「トラップの事・・・・・。」
ま、まさかの・・・!!
「・・・・!!!(ゴクンッ)」
わ、私まで緊張して来ましたー!!
「心が冷たい人なんだと思ってたんだ。・・・エヘ。」
「「・・・・はい?」」
おっと!
思わず声を出してしまいました。
トラップにはばれてないといいのですが。
「ほら!手が冷たい人は心が暖かいってよく言うでしょ?トラップと手を繋ぐと、いつもトラップの手あったかいからさ、心の冷たい人なんだなぁ・・・・って思ってたの。
でもこの間、キットンに医学的根拠はありませんって言われちゃった。
勝手に勘違いしててごめんね?」
パステル。
トラップの手がいつも暖かいのは決して心が冷たいわけではなく、貴女と手を繋ぐからですよ!!!
お願いですから、それぐらい分かってあげてください!!
・・・・というのは無茶な話なのでしょうか。
おや。
トラップと目が合ってしまいました。
ばれてしまったみたいですね。
ここで今日のお話は御終いです。
でもこれからも、超天然ウルトラスーパーミラクル鈍感クイーン☆との戦いはまだまだ続くのです。
おしまい。
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